日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

岡茂雄の造本と装釘同好会

中野重治が獄中で愛読したといふ柳田国男の『雪国の春』。(旧)丸岡町民図書館の『中野重治文庫目録』によると、確かに、昭和三年二月に岡書院から刊行された『雪国の春』が、中野重治旧蔵書に含まれてゐる。 この『雪国の春』については、岡茂雄『本屋風情』…

出版従業員組合での橋浦泰雄と徳永直

先日(20100218)記した、『文化評論』1973年3月号所収の津田孝『徳永直論――「太陽のない街」前後のころ――』に記されてゐる、橋浦泰雄「初期の社会主義運動」の件なんだども。 日本近代文学館が所蔵する、日本共産党中央委員会宣伝教育文化部『読書の友』の複…

大熊肇さんのブログに秀逸な記事が立て続け

以前記した、『今井直一「活字書体と読み易さ」の時代背景』(20090710)に関連して。 昭和十四年六月の東京朝日新聞を見ると、『印刷術』を書いた元印刷局の工学博士で印刷学会の会長である矢野道也が「物質節約と技術の立場から」といふ副題で書いた「活字の…

大正文学研究会「志賀直哉研究」の徳永直と渋川驍

かつて「ナップ以前に出版従業員組合において「文化人橋浦」と「労働者徳永」が出会ってゐたかもしれねぇ」と想像し、実際に橋浦泰雄が出版従業員組合創立総会で徳永直と会っていた模様であると知って、「S司書」候補の一人である関敬吾と徳永直が「つながっ…

やはり橋浦泰雄は出版従業員組合で徳永直と会ってゐた模様

徳永直の没後十五年を記念した小特集が組まれた『文化評論』1973年3月号に記された、津田孝『徳永直論――「太陽のない街」前後のころ――』なんだども。 関東大震災の前年に九州から上京してきて労働組合運動を含む印刷の現場に参入していった当時のことを徳永…

『ひと目でわかる文字訂正・文字更正の実務』

新刊書の棚を歩いてゐて目の端に入った、新谷雄彦・高橋昌昭『ひと目でわかる文字訂正・文字更正の実務』(asin:9784817838384)によって、文字の「校正」ではなく「更正」といふものがあることを知った。戸籍の処理に用ゐる作業概念であるらしい。 同じ日本加…

矢野啓介『プログラマのための文字コード技術入門』拝読

矢野啓介『プログラマのための文字コード技術入門』(asin:9784774141640)ばご恵贈いただき、拝読。ありがたうござる。 縁あって原稿段階で読ませていただいてゐたんだども、本のカタチになると、また感慨もひとしお。 どんな内容かといふのは、版元の新刊紹…

青空文庫本体で徳永直『光をかかぐる人々』公開開始

本日付で青空文庫本体での徳永直『光をかかぐる人々』公開が始まった。 http://www.aozora.gr.jp/cards/001308/card50066.html 昨年の1月末に入力を開始してから一年で公開にこぎつけたのは、偏に、校正してくださる方々に恵まれた故である。改めて深謝申し…

鼻から勾玉型のものが出る勝ち誇り顔とカリフラワー型のものが出る顔

色々手抜きで、Windows XPのペイントで落書き。丸い輪郭の中さ眉・目・口だけ配置した基本の顔の、鼻のあたりから色々出してみる。 といふのは、小形さんのところに寄せられたyutanponさんのコメントば拝見して、思ふところがあったので。 まず、勾玉型とい…

冷笑顔、憐笑顔、嘲笑顔……

改めて小形さんたちの提案にあった「冷笑」(SMIRKING FACE)ば眺めてみたんだども。 なんていふか、少なくともケータイ絵文字のコレに関する限り、みな、目を閉じてゐるか相当細めてゐるかして、口の端を曲げる(口を片頬に寄せる)絵柄だってことは、他人を見…

ハチクロ森田センパイの眩い勝ち誇り鼻息顔

羽海野チカ『ハチミツとクローバー』の「鼻息」顔ば、ざっとふりかえると。 第3巻(asin:4088651073)33頁で、駅前スーパーとのクリスマス商戦を前に意気を高めるあゆちゃんとか、鼻息顔は色々あるんだども、「勝ち誇り」と言へるのは、次の1コマだけだらうと…

マンガの中の冷笑顔と、鼻息荒い勝ち誇り顔

小形さんのブログで「Unicode顔文字提案」のための素材募集が行はれてゐるわけなんだども。 http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20100207 下記、auの「勝ち誇り」顔の作者さんって、例へば1980年代後半〜90年代前半くらいの、何か具体的なマンガの表現をベースに…

goo地図で見る昭和22年の豪徳寺

今頃になって知ったんだども、goo地図では東京(23区?)に限り、昭和22年と38年の航空写真と現在の地図を重ね合はせる機能を持ってゐる。 早速昭和22年の豪徳寺を見てみた。 http://link.maps.goo.ne.jp/map.php?MAP=E139.39.1.874N35.38.43.971&ZM=8 広域を見…

HTML5のdir attributeにverticalな値は不要だらうか

己の見間違ひでなければ、HTML5の最新のeditor's draftは2010年2月4日付で直前のものは2009年8月25日付だと書かれてゐるんだども、一昨日の「最新版」は2010年1月31日付だった。 相変らずruby elementがspecに含まれてゐることについては編者に感謝を捧げた…

日本プロレタリア文学集に見る「S司書」渋川驍の略歴

新日本出版社の『日本プロレタリア文学集』14巻から20巻、《「戦旗」「ナップ」作家集[1]-[7]》ば借覧。 文学集19巻=作家集6巻に渋川驍が収録されてゐて――そのこと自体が既に己には驚きだったんだども――、少なくとも《「戦旗」「ナップ」作家集[1]-[7]》の…

青野季吉『青野季吉日記』『文学五十年』の徳永直

昭和十四年八月十一日から二十年四月二日まで書かれた『青野季吉日記』(1964、河出書房新社)によると、青野は五月七日に「日本文化史展」を見て「心悦ぶ」とひとこと感想を記してゐる。 あちこちの出版社主や編集者が何度も通ってゐる他、渡辺順三や村雲大樸…