日本語練習虫

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矢野啓介『プログラマのための文字コード技術入門』拝読

矢野啓介『プログラマのための文字コード技術入門』(asin:9784774141640)ばご恵贈いただき、拝読。ありがたうござる。
縁あって原稿段階で読ませていただいてゐたんだども、本のカタチになると、また感慨もひとしお。
どんな内容かといふのは、版元の新刊紹介頁にかなり詳しく出てをり、また著者のブログに記されたやうにhyoshiokさんの評もある。
――ので、己は、本書で繰り返し使はれる秀逸な例文について、敢て例文それ自体を引用せずに、ひとことふたこと記す。
周知のやうに、JIS X 0208といふ符号化文字集合は、多様なscriptを含む「多言語化」「国際化」を指向する規格である。そしてJIS X 0213は、0208では不足するといはれる現代日本語(およびアイヌ語ならびにギリシア語)を過不足なく書き表せる符号化文字集合として、Unicode/ISO 10646との対応関係が取れない国内規格は事実上成立し得ない時代に開発された。
さうした歴史への敬意と、北海道とのご縁、そしてSKK辞書の開発に盡力して来られた実績が滲み出る、さりげなく見えて、しかもさりげなく見えるやう考へぬかれてゐる、実に優れた例文であると、己はとても感心してゐる。
試しに、矢野さんの例文に対抗して「吾か゚実家ァ𣗄代っつうとさ在んだ」なんて書いてみても、サッパリ通じねぇ。
己の実家は𣗄代ぢゃないんだどもさ。