2024-01-01から1年間の記事一覧
はじめに 先日、五号活字を主体とする、文選箱およそ2箱分の古い活字を入手しました。縞木綿の包みを開くと、おそらく当初の姿を保っているのであろう文選箱1つ(主にひらがな活字)と、三分の一程度が崩れてしまったらしき文選箱1つ(主に漢字活字)、そし…
文選箱の「最初の100本」に東京築地活版製造所のピンマーク入り活字が含まれていた話(「築地五号仮名フェイスの築地五号ボディ活字を20本並べてデジタルノギスで計った寸法のメモ(5組測定の100本中1本は築地活版のピンマーク入り)」)の続きです。 築地活…
2020年代に入ってから大きな幸運に恵まれて実現した、古い時代に鋳造されたことが明らかであるような和文活字の大きさを計ってみるシリーズ。JIS規格より古い時代に鋳造された「号数活字」の寸法は、弘道軒清朝活字を除いて「初号」などの呼び名とおよその大…
さて、①往時の新聞各紙のうち『中央新聞』が本文活字として築地9ポイント明朝を採用した嚆矢であると言われていて、牧治三郎『京橋の印刷史』(東京都印刷工業組合京橋支部50周年記念事業委員会、1972年)や矢作勝美『活字=表現・記録・伝達する』(出版ニュ…
明治42年版『新聞名鑑』を手掛かりに築地初期ポイント活字の早期採用紙を探ってみようという試みの2紙目として、『毎日電報』に続き、今回は『名古屋新聞』を取り上げてみます。明治42年版『新聞名鑑』では1行18字詰め・1頁8段組みとされており(https://dl.…
「早々と明治39年5月から築地9ポイント活字を用いた読売新聞は「字が小さすぎる」苦情への対応として築地10ポ・9ポ半明朝活字を採用せず明治42年正月から都式活字へ乗り換えるが…」で予告した、「都式活字」と築地9ポ半明朝活字の乱雑混植について、項を改め…
野村宗十郎「日本に於けるポイントシステム」で「其他十數種の新聞に九ポイントは採用されたが、何うも小さくて見にくいといふ非難があつた」と書かれているうち、読売新聞の本文活字には読売の社史に出ていない興味深い歴史があったので、整理してみます。…
これもまた「「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」と東京築地活版製造所の10ポ・9ポ半明朝活字」に続いて、またまた、「新聞活字サイズの変遷史戦前編暫定版」と「大正中期の新聞における本文系ポイント活字書体の変遷(暫定版)」を補足する、築地活版の初期ポ…
明治42年版『新聞名鑑』を手掛かりに築地初期ポイント活字の早期採用紙を探ってみようという試みの1紙目として、『毎日電報』を取り上げてみます。明治42年版『新聞名鑑』では1行18字詰め・1頁8段組みとされており(https://dl.ndl.go.jp/pid/897421/1/55)…
今回も「新聞活字サイズの変遷史戦前編暫定版」と「大正中期の新聞における本文系ポイント活字書体の変遷(暫定版)」を補足する築地活版の初期ポイント活字の話です。当初は「明治42年版『新聞名鑑』を手掛かりに築地9ポイント活字の初期採用紙を探る―①ブラ…
またまた、「新聞活字サイズの変遷史戦前編暫定版」と「大正中期の新聞における本文系ポイント活字書体の変遷(暫定版)」を補足する、築地活版の初期ポイント活字の話です。5月に記した「東京築地活版製造所の12ポイント明朝活字と写研の石井中明朝MM-A-OKS…
2年程前の記事「大正中期の新聞における本文系ポイント活字書体の変遷(暫定版)」は記事中にもある通り「年末に刊行される予定の雑誌に向けて執筆中の原稿」、つまり勉誠出版から2022年12月付で刊行された『書物学』第21巻「特集 活字」に掲載していただい…
明治41-421908-09年に東京築地活版製造所から中央・読売の本文活字の座を奪った「都式活字」ですが、活字サイズはデビュー時から一定しているように見えるものの――9.75ptと言われるが実際は9.5pt相当と思われる――、仮名の書風が短期間のうちに3段階の…
「活字の種を作った人々」展の会期末ぎりぎりになって、ようやく、市谷の杜本と活字館を訪れました。初訪問です。展示室の隣にある制作室エリアの卓上に「手を触れないでください」という注意書きだけ添えて飾られていたスリムな文選箱3つに、欧文活字5種と…
2023年11月3日から2024年6月2日という会期で、市谷の杜 本と活字館の企画展「活字の種をつくった人々」が開催されています(https://ichigaya-letterpress.jp/gallery/000345.html)。この記事の公開時点で、残る会期は週末の3日間。2024年の春からVRツアー…
以前「新聞活字サイズの変遷史戦前編暫定版」のコメント欄に短く記していた「都式活字(都式新活字)の大きさを9ポイント7分5厘(9.75pt)ではなく9ポ半(9.5pt)相当と判断する理由」を、少し丁寧に補足しておきます。 都式活字のデビュー 明治351902年…
東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター(明治新聞雑誌文庫、原資料部)のウェブサイトに掲載されている、2024年4月10日付の最新情報「【おしらせ】国書データベースで明治新聞雑誌文庫資料(2023年5月公開 125点、2024年4月公開『有喜…
2018年11月、人生初コズフィッシュ訪問の際――今のところ再訪はできていないのですが――、祖父江慎さんが複本でお持ちだった夏目漱石『鶉籠 虞美人草』(縮刷版合本、春陽堂)95版を頂戴しました。大正141925年6月25日発行で、清水康次「単行本書誌」(『…
秀英舎の六号明朝活字の仮名書風の変遷――現時点までに分かっている範囲では全部で三段階だったと思われる――を辿れる資料がすべてウェブ資源化されたので、備忘のため記しておきます。 築地六号型(明治19年築地活版「新製見本」型) まだ少なくとも仮名の書…
引き続き、「新聞活字サイズの変遷史戦前編暫定版」と「大正中期の新聞における本文系ポイント活字書体の変遷(暫定版)」を補足する、築地活版の初期ポイント活字の話です。先日「中央新聞が明治38年に本文活字として採用した東京築地活版製造所の9ポイント…
『石井茂吉と写真植字機』(写真植字機研究所、1969年)第三章「未知に挑む」の「文字のサイコロ」の項に、今年100周年を迎えた写真植字機の最初の文字盤は「活字の清刷をそのまま湿板法でガラスに複写したもの」だったが実用に耐えず、次に「便宜的にその頃…
「新聞活字サイズの変遷史戦前編暫定版」と「大正中期の新聞における本文系ポイント活字書体の変遷(暫定版)」に書いていなかった、築地活版の初期ポイント活字のことを記しておきます。 アメリカン・ポイント・システム 日本にポイント活字を普及させた功…
日本で最初の隷書活字製造販売元として知られる活版製造所文昌堂が発行した、花形を主題とした活字見本帳である『花形見本』が、印刷図書館に蔵されています(Za359 https://mba-web.co.jp/opac/prj/details.php?id=7686)。表紙のコピーが手元にあったこと…
『近代出版研究 第3号』(皓星社、2024.4 https://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/9784774408200/)冒頭の座談会「「書物雑誌」と雑誌の「書物特集」」のうち、本来は2023年の第2号に掲載予定だったという分を読了。創刊号の「明治期に活躍した出版社…
過日、大阪朝日堂活版製造所が鋳造した初号丸ゴシックフェイスで42ptボディの活字を入手しました。「秀英初号明朝フェイスの秀英舎(製文堂)製初号ボディ活字と42ptボディ活字」と同じ計り方で、縦3か所の平均が14.780mm(42.059pt)、横3か所の平均が14.74…
明治期における裏表紙のパブリッシャーズ・マークと活版(電気銅版)見本 神保町のオタさんから『近代出版研究 第3号』(皓星社、2024.4 https://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/9784774408200/)をご恵贈いただきました。改めてお礼申し上げます。あ…
2023年12月の関西蚤の市で貴重なピンマーク入り活字を入手された書体賛歌さん(https://twitter.com/typeface_anthem/status/1730789514292101371)から、先日「盛功合資会社または合資会社盛功社活版製造部のものではないかと思われる「NAGOYA 青 SEIKOUSHA…
「近代和文活字書体史・活字史から19世紀印刷文字史・グローバル活字史へ」(日本デザイン学会『デザイン学研究特集号』30巻2号〈通巻108号〉所収)に記した通り、青山進行堂が鋳造した初号フェイスの活字ボディの大きさは、手元にあるものを観察した限りで…
大日本印刷の前身のひとつである秀英舎の名を刻んだ「東京秀英舎」ピンマーク入り活字と、秀英舎の初期の活字製造販売部門であった製文堂の名を刻んだ「東京製文堂」ピンマーク入り活字を入手し大きさと重さを計測してみた話を2023年3月に記していたわけです…
2022年12月の国立国会図書館デジタルコレクション全文検索機能のアップデートと、2024年1月の国立国会図書館サーチのリニューアルを受けて、2015年に書いた「森川龍文堂の読みと『最新欧文活字標本』の刊行年」という記事について補足しておきたいと思います…