日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

小秋元段先生の〈一部嵯峨本とその前史に見られる #乙女割付〉論文の存在に今頃気がついた

去る2月20日に開催された #印刷博物館20周年記念トークイベント 第1回 #印刷文化学会議 の第一部、小秋元段「黎明期の平仮名古活字版の諸相」を残念ながらリアルタイムで視聴することができず、7月末に公開された音声アーカイブ #いんぱくポッドキャスト #4(https://anchor.fm/printing-museum/episodes/4-1-Part1-e130jhf)で拝聴して驚いていた。

小秋元氏が「嵯峨本前史を形成する書物群」と仰る幾つかの木活字本においては、自然な両端揃えの版面を構成しながら、同時に文節改行が徹底されている(!)のだという!!*1

講演アーカイブの36分あたりから、「乙女割付」というキーワードを用いながら、上述の両端揃え文節改行徹底の様相が解説されていく。すごい、すごいよ小秋元先生!!!

図版なし音声のみでも十分にそのすごさ面白さが伝わり、SNSで「#乙女割付」というキーワードがライブ視聴者の間で飛び交っていた理由がよく分かったものだったのと同時に、当日にその興奮を共有できなかったことを改めて悔しく思ったわけなのだけれども。

実は今頃になって、トークイベントからひと月ほど経った2020年度末(2021年3月)に発行された法政大学文学部紀要82号に小秋元段「嵯峨本とその前史の一相貌」という論文が掲載され、機関リポジトリ経由で誰でも閲覧可能となっていたこと(http://doi.org/10.15002/00024065)に気がつきました。

これ、一般向け講演の口頭発表じゃないから論文文体で綴られていて、しかもどこにも「乙女割付」っていうパワフルなキーワードが出てこないけど、内容は #印刷博物館20周年記念トークイベント 第1回 #印刷文化学会議 の第一部「黎明期の平仮名古活字版の諸相」の準備原稿として書かれたと言われても納得できちゃうような、乙女割付の発見に関する論文じゃないですか小秋元先生!

20112021年11月24日23時現在で自分の分を含めて17ダウンロードしかされていないのはおかしい。17万ダウンロードの間違いじゃないのか?!

あと16万9983人くらいの方が、自分同様、単に論文の存在に気がついていなかっただけなんじゃないかと思うので、じゃんじゃん宣伝してどんどん読まれるべき。

そして今年度から3年間の計画で進められている「平仮名古活字版の誕生と展開」(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21K00272/)がまとまった本の形で刊行される際には、ぜひ「乙女割付」の語が採られるよう、トークイベントにハートを射抜かれた我々リスナーの無言の圧力を感じてもらうべき。


11月25日追記:乙女割付論文のダウンロード数確認時の日付、10年間違えていたので訂正しました。ご指摘ありがとうございます。この訂正と併せて、表題を「小秋元段先生の #乙女割付 論文の存在に今頃気がついた」から小秋元段先生の〈嵯峨本前史を形成する書物群に見られる #乙女割付〉論文の存在に今頃気がついた」小秋元段先生の〈一部嵯峨本とその前史に見られる #乙女割付〉論文の存在に今頃気がついた」に変更しました(←いったん変更した表題を再度変更しました)。

*1:できれば公演の音声アーカイブ全体を通して聴いた方がいいと思うけど、今すぐ驚きたい方は、開始から31分丁度のあたりまで早送り可。