日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

宮武外骨『公私月報』の「明治新聞雑誌標題筆者集」#次々デジ備忘録

宮武外骨『公私月報』に「明治新聞雑誌標題筆者集」という連載があり、外骨蒐集資料のうち、何らかの資料によって標題(題字)の筆者がわかるものについて、標題と筆者の情報が掲げられています。掲載されるのは、1930昭和5年9月の第2号から昭和8年5月の第32号まで、全8回だったようです。『新聞集成明治編年史』に収録された回もあったようですがhttps://dl.ndl.go.jp/pid/1920380/1/51、全回拾われたのかどうかは未確認です。

キーワード「明治新聞雑誌標題筆者集」でNDL全文検索を実行しても、総目次の他、8号中3号しかヒットしてくれません。初回をご覧いただくとお分かりのように、この連載タイトルが「右横書き」なので、OCR文字認識の結果がリバース文字列になってしまっているからです。

「薄い本」なので全号全ページを目視確認してみたのですが、NDL全文検索で「集者筆題標誌雑聞新治明」という文字列を検索した結果と、全号全ページ目視確認結果が合致しており、以下のリストで拾い漏れはないでしょう。

2023年1月現在の状況でNDL全文検索を試みる際、キーワードを逆順に並べたリバース文字列で試してみるというノウハウも共有しておきたいですね(「検索用キーワードを反転させる」ボタンが本家に実装されると余計なひと手間が省けてありがたいデス)。

第1回:月報2号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476123/1/3

紙誌名 題字 筆者 使用時期
東京日日新聞 福地源一郎 明治7年12月2日以降
読売新聞 永坂石埭 明治14年1月4日以降
芳譚雑誌 守田寶丹 第1号より
西洋雑誌 柳川春三 慶應3年10月創刊第12号より
江戸〓さき 尾崎紅葉 明治23年6月創刊第1号より
明治新誌 巖谷一六 明治34年4月創刊第1号より
国家教育 徳川齊昭 明治25年5月改革第1号より
𦾔幕府 田邊蓮舟 明治30年4月創刊第1号より

第2回:月報5号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476131/1/3

紙誌名 題字 筆者 使用時期
官報 三條實美 明治16年7月創刊第1号より
話の種 守田寶丹 明治14年3月創刊第1号より
東京医事新誌 佐瀬得所 明治10年2月創刊第1号より
同樂相談 田島任天 明治12年3月創刊第1号より
面白草紙 杉山蓋世 明治28年8月創刊第1号より
扶桑詩文 永坂石埭 明治42年11月創刊第1号より
諷歌新聞 井上文雄 明治元年4月巻第1号限り
時事新報 久永其頴 明治15年3月創刊横表題後より

第3回:月報6号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476132/1/3

紙誌名 題字 筆者 使用時期
郵便報知新聞 池原香穉
明治日報 池原香穉
時事新報 池原香穉
読売新聞 池原香穉
新潟新聞 池原香穉
陸羽日日新聞 池原香穉
山陽新報 池原香穉
鹿児島新聞 池原香穉
米〓〓〓 池原香穉
田舎新報 池原香穉
栃木新聞 池原香穉
熊本新聞 池原香穉
下野新聞 池原香穉
静岡大務新聞 池原香穉
大坂新報 池原香穉

第4回:月報10号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476136/1/3

紙誌名 題字 筆者 使用時期
田舎新聞 長三洲 明治11年7月第88号に拠る
豊新 平野五岳 明治14年8月第210号以下
読売新聞 佐瀬得所 明治9年1月第283号以下10日間
古今詩文詳解 渡邊三舟 明治16年12月第110集前後
無遠慮 久永其頴 明治22年10月創刊第1号以下
我楽多文庫 尾崎紅葉 21年2月発行初期第16号

第5回:月報17号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476144/1/3

紙誌名 題字 筆者 使用時期
朝日新聞 匠瑳常民 明治12年1月創刊第1号以来
風雅雑誌 本荘宗武 明治15年7月創刊第1号
法理精華 高橋健三 明治22年12月第23号前後
頓智協会雑誌 久永其頴 明治20年4月自第1号至第10号
江戸文学 大槻如電 明治42年3月創刊第1編以下
有佐葉樂誌 守田寶丹 明治15年4月発行第6号

第6回:月報25号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476152/1/3

紙誌名 題字 筆者 使用時期
山陽新報 太田卓之 明治12年1月創刊第1号以来
同盟改進新聞 勝海舟 明治15年11月創刊第1号以来
能仁新報 奥村石蘭 明治26年1月第143号以下
深山自由新聞 山岡鐵舟 明治15年1月創刊第1号以来
風雅報 田邊蓮舟 明治41年創刊

第7回:月報28号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476155/1/3

紙誌名 題字 筆者 使用時期
中外新聞 柳川春三 明治元年2月創刊第1号以下
世益新聞 佐田介石 明治8年2月創刊第1号以下
高知自由新聞 宮崎富要 明治15年5月創刊第1号以下
海内詩媒 村田海石 明治20年4月第82集以下
矯風 田崎草雲 明治27年1月創刊第1号以下
治療藥報 中村不折 明治41年1月発行第30号に拠る
法律新聞 高橋健三 明治32年9月創刊第1号以下
日出国新聞 福地源一郎 明治33年11月日以下4年間

第8回:月報32号(https://dl.ndl.go.jp/pid/1476159/1/3

紙誌名 題字 使用時期 筆者
神戸又新日報 明治17年 池原日南
伊勢新聞 明治22年 土井聱牙
報知新聞 明治31年 西川春洞
技藝の友 明治38年 綾岡有眞
草乎思香さをしか 明治39年 菊地素空
技藝の友 明治38年 小村榲村
日本之時事 明治21年 久永其頴

久永其頴が数多く手がけているのは旧知の通りだったんですが、池原日南(香穉)がめちゃくちゃ多かったことは知らなかったのでびっくりしました。

なお、各表中の「題字」の欄は題字画像を引用掲出するつもりではあるものの、手続きが面倒くさいので、しばらく空欄のままになるか、こっそり欄を削除してしまうことになるか、悩み中です。



2023年1月23日追記。連載第3回(月報6号 https://dl.ndl.go.jp/pid/1476132/1/3)で触れられていた明治17年7月27日付『山陽新報』全頁(計4面)について依頼していた遠隔複写が届いたので、池原の訃報を確認しました。掲載されていたのは第2面3段目の中ほど。

○池原香穉翁  曾て弊社新聞の題字を揮毫されたる東京の池原香穉翁は郵便報知新聞を始め時事新報、明治日報、開花新聞及び地方にては新潟日々新聞、新潟新聞、下野新聞、田舎新報、神戸又新日報等の題字をも書かれたる人なるが急症にて去る十四日物故されしよし惜しむべきことなり