日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

新MS明朝と人名漢字の字形(2)

例へば安岡センセイのところの「人名用漢字別表の変遷」と同じ表を新旧MS明朝で作成し見比べてみると、表外漢字字体表の外にある人名用漢字について、“字体の違ひだからグリフを変更するべ”と判断したのだらう文字群と“デザインの違ひに過ぎねぇからグリフは変更しねぇ”と判断したのだらう文字群の存在が浮かび上がって来るらしい。
今までの記事に載ってゐない例では、「憐」「栃」「葦」「韓」「鱗」などが、JIS漢字の例示字形が変更さった経験が無いにも関らず新MS明朝でグリフが変更さってゐて、同じくJIS漢字の例示字形に変更履歴が無い1面19区33点(柿)は「コケラ」に見える字形だったのが「カキ」に見える字形に変更され、90年の人名漢字拡大を受けて90JISで字形が変更さった「晟」は「燿」同様今頃になって追随さってゐて……といった変更と同時に、「啄」「壕」「琢」「蒙」の「豕」はhttp://d.hatena.ne.jp/uakira/20050822の通り無変更である様子が観察されるさうだ。
噂が事実であるならば、新MS明朝の表外漢字グリフに関して人名漢字が字体/字形の1つの規範とさったことを疑う余地は無ぇと思はれっけど、何を拠所として戸籍統一文字通りに(あるひはJIS漢字の規格票例示字形通りに)変更する/しないが決まったんだか、未だ己の理解の外にある。
TTEditなどスクリプトで制御できるフォントエディタを使って新旧MS明朝の第一水準漢字グリフのデータと第二水準漢字グリフのデータを全て比較し、変更があった全漢字を調べることもできるんだべけど、噂の人は、そこまでやる気は無ぇさうだ。
別の角度から燃料補給が無ぇ限り、新MS明朝の字形変更に関する話題は、これで打ち止めってことになるだらう。
なほ、ここしばらくの新MS明朝/ゴシックの字形変更の件は、アウトラインデータに限定した内容であって、埋め込みビットマップフォントについては内容が異なる可能性があるといふ噂。