日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

新MS明朝/ゴシックとメイリオの漢字デフォルト字形の拠り所はナニ?

またまた噂話で恐縮なんだけっども。
「豕家隊象像縁塚墜遂逐」「炎淡談啖毯痰」といふ文字列を新旧のMS明朝で表示し比べてみると、「豕」の最終画を払うか止めるかや最終画がどこと接するかといったこと、また、「火」の最終画を払うか止めるかといった点に、全く変りがねぇらしい。
同じ文字列を新旧のMSゴシックで表示し比べてみると、どの文字を払うか止めるかがMS明朝とは違ってゐるけれど、新旧MSゴシック間での違ひは無ぇといふ。
これがメイリオになると、「豕」の最終画を払うか止めるかや最終画がどこと接するかといったこと、また、「火」の最終画を払うか止めるかといった点が、平成角ゴシック体W5と同じ処理になってをり、MS明朝ともMSゴシックとも異なるデザインポリシーに貫かれてゐるやうに見えるさうだ。
新旧MS明朝/ゴシック間の字形変更を最小限に抑える意志があるのだとするなら、それは立派な判断で、しかもメイリオのデザインを敢てMSゴシックとは違ふものにすることで「書体が違へばデザインが異なって当たり前」といふことを我々に教へてくれるつもりであるとするなら、それまた立派な判断ではあるまいか。――てなことを思ってみたんだけっど、事態はさうさう単純ではないやうだ。
JIS X 0213:2004でのJIS X 0123:2000からの例示字形変更とは無関係な字体において、新旧MS明朝/ゴシックの間に不思議な字形変更が見られたといふのだ。
1面85区46点(朗)については新旧MS明朝とも第一画が縦棒だが新旧MSゴシックではナナメで変りが無ぇといふのに、1面92区71点(郞)については旧MS明朝/ゴシックが縦棒だった第一画を新MS明朝/ゴシックでナナメにしてしまったらしい。
MS書体設計班に、タテでもナナメでも朗の字であることに違ひは無ぐってJIS漢字としても人名用漢字としても通用するから後方互換性を重視しろと主張するスズキ一朗氏(仮名)と、現状がタテならナナメに改革しなきゃイカンと主張するコイズミ純一郞氏(仮名)がゐて、どちらも譲らなかったのだらうか。
ちなみにメイリオの場合、朗も郞もタテださうで、これは、各々の字体をWindows31j文字セットのグリフとして実装したのだらう平成角ゴシック体W5と同じデザインポリシーであるやうだ(平成明朝体W3では双方ナナメ)。