噂の中の人に拠っと、Windows Vistaベータ1のMS明朝/ゴシックには、新たに13ドット角(字面12ドット角)のビットマップフォントが埋め込まれてゐるといふ。
リコーフォントMLの2004年9月6日号に解説があるやうに、Windows標準の96dpi環境では今まで字面11ドット角のビットマップフォントデータ(9ポイント用のデータ)で10ポイントの文字が表示されったんだけっども、これが一回り大きいサイズ(字面12ドット角)になるのだと。
特にWebブラウジングの際に、追加ビットマップフォントの威力が発揮されることになるだらう。
画面上での読みやすさを前面に押し出したメイリオの宣伝の影で行はれたこの地道な作業に対し、大いに敬意を表し、またWindows XP環境でも使へるよう取り計らってくれたことに、深く感謝したい。
MLの同じ号では、
――といふことも書かれてゐるが、これだけ大規模な文字集合が相手なので、アウトラインデータに誤字が生じてしまってゐるやうに、ビットマップフォントのチェック漏れもあるらしい。ビットマップが代替されて表示されるということは、違うフォントが表示されるということです。アウトラインフォントや他のサイズ間でイメージや点画が違っていたらたいへんです。リコーでは並べ印字等を行い、イメージの不一致や省略の逆転がないようにチェックしています。
http://d.hatena.ne.jp/uakira/20050827では原理的な可能性としてアウトラインフォント字形とビットマップフォント字形の変更内容が違ひ得ると記したものだったんだけっど、実例が見つかった。
例へば、新MSゴシックでアウトラインデータが変更さったといふ「渧(U+6E27)」の場合。「帝」の第一画がタテかヨコかといふ違ひだけっど、旧MS明朝のビットマップデータがアウトラインデータと合ってゐねがった。
フォント種別 | 旧MS明朝 | 新MS明朝 | 旧MSゴシック | 新MSゴシック |
---|---|---|---|---|
アウトライン | タテ | タテ | ヨコ | タテ |
10ドット角 | タテ | タテ | タテ | タテ |
12ドット角 | ヨコ | タテ | ヨコ | タテ |
13ドット角 | タテ | タテ | ||
14ドット角 | ヨコ | タテ | ヨコ | タテ |
16ドット角 | ヨコ | タテ | ヨコ | タテ |
18ドット角 | ヨコ | タテ | ヨコ | タテ |
20ドット角 | タテ | タテ | ヨコ | タテ |
10ドット角と12ドット角のデータは明朝・ゴシック共通で、細かい違ひを云々するには不適当なサイズと思はれるものの、14〜18ドットフォントは明朝・ゴシックが別データであり、かつ新旧フォントの情報にある通りタテヨコの違ひを表現できるサイズとなってゐる。旧MS明朝の14〜18ドットフォントは、残念な例だ。
噂の中の人に拠っと、新フォントでも10ドット・12ドットは共通データらしく見えるが13ドット角のさんずいに明朝体デザインとゴシック体デザインの違ひが見られ、14〜18ドット明朝フォントの内容が修正されった他、MSゴシックのビットマップフォントがアウトラインフォントの変更に合はせて修正されったといふ話。