日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

初号フェイスの大阪青山進行堂製初号ボディ活字・42ptボディ活字・15mmボディ活字

「近代和文活字書体史・活字史から19世紀印刷文字史・グローバル活字史へ」(日本デザイン学会『デザイン学研究特集号』30巻2号〈通巻108号〉所収)に記した通り、青山進行堂が鋳造した初号フェイスの活字ボディの大きさは、手元にあるものを観察した限りでは、築地系の初号ボディ(概ね42.2アメリカン・ポイント≒14.82mm角)、42アメリカン・ポイント(14.759mm角)、15mm角の3種類となるようです。

ちなみに以前「大阪青山進行堂のピンマーク6種と活字書体3種(付:青山督太郎の略歴と生没年――没年の典拠情報求む――)」に記した「雪形」活字は、「謹賀年」の3本が築地初号ボディで「新」が42ptボディであると判断しています。

その後、大阪青山進行堂が鋳造した初号フェイスの活字が少し増えて手元にあるものが150本余りとなったので、改めて活字サイズの分布図を作成してみました。

活字サイズは「秀英初号明朝フェイスの秀英舎(製文堂)製初号ボディ活字と42ptボディ活字」に記した通り、縦方向を3か所計測の平均値、横方向も3か所計測の平均値を採ったものです。

青山進行堂が鋳造した初号フェイスの活字サイズ分布

築地初号ボディも42ptボディも縦方向のばらつきは小さく、横方向のばらつきが大きくなっています。外れ値となっているように見える「エ」は縦方向が築地初号ボディ・横方向があやまって42ptボディの下限近くになってしまったもので、同じく「河」は縦方向が42ptボディで横方向が築地初号ボディの上限値近くになったものなのではないかと思われます。

縦方向が15mmボディの許容範囲かと思われる「導」は横方向が15mmボディの下限をおそらく下回って築地初号ボディの上限値近くになっており、「三」「院」は縦方向が築地初号ボディの上限を超えつつも15mmボディの下限に満たないサイズなのではないかと思うのですが、資機材の不足などの時代背景の影響でそのまま流通してしまったのではないかと想像しています。

縦方向と横方向の実際の許容範囲(寸法の公差)がどれくらいであったのかは判りません。



以下2024年4月8日追記:

昨日の記事では15mmボディも含めた分布図のみとしたので、築地初号ボディの下限付近と42ptボディの上限付近がわかりにくくなってしまいました。築地初号ボディと42ptボディのみの分布図を新たに作成したので、追記しておきます。

青山進行堂が鋳造した初号フェイスの活字サイズ分布(築地初号ボディと42ptボディのみ)