日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

ケヶ个の何だらう

先日「芝野先生講演会「電子翻刻における「読み」と「見たまま」開催」の記事さ転記した、青空文庫が抱える“ケヶ問題”の件についてziomさんの日記「漢字探し」で対面した方々の参考に、余計なお世話と思いつつ。
次の例文をご覧ください。

住居表示が「霞が関」であるところの官庁街にある地下鉄の駅は、看板の表記が「霞ヶ関」と小書き片仮名ケ(KATAKANA LETRER SMALL KE)である「ヶ」で記されていて、その駅の券売機で特別急行券を買うと「霞ケ関成城学園前」といった片仮名ケ(KATAKANA LETTER KE)である「ケ」で印刷される。

かうした例文に関して、《「こ・か・が」と読む「ケ(ヶ)」の形をした文字は全て「ヶ」に統一する》といふのが、「JIS漢字コードが符号化しているのは、社会に通用してきた「文字」である。その中で「ケ」のような形をしたものには、「け」と読む片仮名と、「こ」「か」「が」と読む漢字がある。異論もあるが、青空文庫の作業では、その立場をとる。実作業では、底本の文脈を読み、入力対象がどちらかを見きわめて、対応するコードを入れよう。」と考へるとする「読み」主義の立場です。
上記の例文は、次のやうに電子化されます。

住居表示が「霞が関」であるところの官庁街にある地下鉄の駅は、看板の表記が「霞ヶ関」と小書き片仮名ケ(KATAKANA LETRER SMALL KE)である「ケ」で記されていて、その駅の券売機で特別急行券を買うと「霞ヶ関成城学園前」といった片仮名ケ(KATAKANA LETTER KE)である「ケ」で印刷される。
#文中「こ・か・が」と読む漢字は「ヶ」に統一しました。

これでは意味が解りません。
これに対する異論といふのが、《大きい片仮名ケの姿に見える文字はKATAKANA LETRER KEで符号化し、小さい片仮名ケの姿に見える文字はKATAKANA LETRER SMALL KEで符号化しよう》といふ、「JIS漢字コードは、「文字の種類」と「形」の組み合わせのみを規定している。「ケ」の形をしたものは、JISには、大小二つのパターンが、片仮名のみにある。底本の「ケ」のような形をした文字は、この大小の差異をキーとして、どちらで入れるか決めるべきなのだ。」とまとめられた、「カとヵが区別できてケとヶが区別できないといふのは意味が分らない」、「見かけ」主義の立場です。
上の例文は、次のやうに電子化されます。

住居表示が「霞が関」であるところの官庁街にある地下鉄の駅は、看板の表記が「霞ヶ関」と小書き片仮名ケ(KATAKANA LETRER SMALL KE)である「ヶ」で記されていて、その駅の券売機で特別急行券を買うと「霞ケ関成城学園前」といった片仮名ケ(KATAKANA LETTER KE)である「ケ」で印刷される。

私は、ほとんど全く活動実績の無い工作員なので、議論の担い手にはならず、徳永直『光をかかぐる人々』を青空文庫に登録する際は納品時点での青空文庫ルールで納品し、同じデータを印刷テキストに使ふ時には例へばAJ1-4とか1-5とか1-6の範囲で再度加工する、それだけです。