日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

『光をかかぐる人々』第六章「開港をめぐつて」へ

徳永直『光をかかぐる人々』入力分の公開が、第六章「開港をめぐつて」に入った。
http://d.hatena.ne.jp/HikariwokakaguruHitobito/
第一節の冒頭近くに曰く:

たとへばS文庫のうすくらい片隅の机で、私は借りた書物のうちから、はじめは「昌造」の名ばかりさがしてゐる。幕府時代の公文書とおぼしきものから、年時や事件を繰りあはせてさがしてゆく。ちかごろでは「本木」とか「通詞」とか「活字板」とかいふやうな文字は、どんなに不用意に頁を繰つてゐても、むかふから私の眼のなかにとびこんでくるやうになつてゐたが、またそれと同時に、私の興味は活字などとは凡そ縁のないやうな、昌造とさへ直接には關係のない、いろんな他の文章にも魅かれていつて涯しがないやうであつた。

調べものに当たる際は常に「どんなに不用意に頁を繰つてゐても、むかふから私の眼のなかにとびこんでくるやうになつてゐた」といふ境地にありたいもんだども、なかなかさういふ具合にはいかねぇ。
己の場合、語句ぢゃなくて図形パターン認識において、約一万グリフば校正のつもりで眺めて三グリフは見逃すってことが先日実証されたばかり。
http://d.hatena.ne.jp/uakira/20081202