日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

「飛翔体」と共に球春到来

侍の連続世界一とか初のみちのくダービーとなった春の甲子園準決勝といった前夜祭が一通り終り、本当の球春が一昨日の岩隈とダルビッシュの投げあひで始まった。
開幕三連戦夷狄対決は、FA中村ノリの先制ホームランと決勝タイムリーにより、イーグルスの三連勝で幕を閉ぢた。
満五歳二ヶ月のウチの野郎ッコは、イーグルス戦のテレビ中継を見てゐて9回表、同点に追いつくあたりで血の騒ぎを押さえきれなくなったらしく、盛んにキャッチボールをせがむ。
朝昼晩の三食お代わりクンは人生初なんぢゃないか……。
ところで、イーグルス球団初の開幕三連勝を記念すべき日である本日昼、各種報道によると朝鮮民主主義人民共和国人工衛星と称する物体を宙に飛ばしたらしい。
前日の誤探知騒動を含め、現行の常用漢字でなく新常用漢字案にも含まれない「翔」の字を用いた「飛翔体」といふ語の使用について、公用文と看做せる通知においてさうした文字を含む語句を用いる政府の不見識を糾弾し政府としてあるひは当該省庁の立場から新常用漢字案に「翔」の字を追加させるべきとの意思表明が為されはじめてゐる。
http://d.hatena.ne.jp/YAMAMOMO/20090405
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090405
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2009/04/05/4228101
この一見耳慣れない、また見慣れない語句について、もう一度落ち着いて調べ直してみよう。
実は今回が「飛翔体」といふ語句の初出ではなく、直近では2006年7月5日、当時の安倍晋三官房長官テポドン(2号?)発射を受けた早朝の記者会見で「何らかの飛翔体が発射され、いずれも日本本土から数百キロメートル離れた日本海に着弾した」「午前3時30分、午前4時ごろ、午前5時ごろの、三度にわたって北朝鮮から何らかの飛翔体が発射された」等と発表したのではなかったらうか。ちなみに当時の外務大臣麻生太郎
今回の「飛翔体」使用は、単に前例に倣ったものだらう。
既に近隣公共図書館の閉館時刻を過ぎてをり、また明日は休館日なので明後日以降当時の新聞記事等を再確認するつもりだが、2006年の上記状況が己の記憶違ひでなければ、当時官房長官による「飛翔体」なる語句の使用を容認したあるひは看過した我々は、政府筋による今回の常用外漢字使用に対する批判の矛先を、我々自身にも向けるべきだらう。――と日記さ書いておく。
ここで己の関心は、2006年当時の安倍晋三官房長官が「飛翔体」といふ語句の発案に係る当事者ではなく、例えば防衛関係の用語で「飛翔体」といふ語句が元々何等かの形で存在したんぢゃなからうかといふ想像へと向かふんだども、残念ながらこの方面に暗い己。どなたかご教示希う次第。