日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

さらば平成明朝体W3漬けの日々

満一周年を迎えるグリフウィキから、10,204字を実装する花園明朝(花園フォント)第2版*1が公開*2*3*4た後も、主要登録者の方々は夫々のテーマに沿って活動を継続されてゐる。この一年、多くのグリフ登録を積み重ねてこられた方々に改めて深い敬意を抱かずにはをれぬ。
以下、二週間ほど軽く触ってみて、JIS漢字フォント製作に関して己自身が気づいたこと。
実は、http://glyphwiki.org/wiki/Group:%E8%8A%B1%E5%9C%92%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%88@33 の「平成明朝と比較して目についたもの」を眺めてゐて、当初、「辰」関係の横棒が雁ダレに接触するか否かの字形差を認識できなかった己なんだども、「目についたもの」に記載がなかったため、穴冠関連字でウ冠部分と“ル”が接触するか否かについては自発的に気づいてゐても校正対象とはしなかった。規格票例示字体を記した平成明朝体W3と花園明朝第2版との差異は、かうした恣意的な校正を経た結果、また当然見落としも在り得るといふ状況の下に生まれてゐる。
XANOの頃、己には絶対無理だと思ってゐたJIS X 0213:2004の全漢字10050字体の通し校正は、想像したほどの難事業ではなかった。全てのチェックポイントを頭に入れた状態で通覧するといふのは少なくとも己には無理だども、「牙」関係「兂」関係だけに集中して一回通覧、「右払いかトメか」関係「抜けかトメか」関係だけに集中して一回通覧、…といった具合に単純作業化してしまふことで、短時間での通覧が可能だった。
法則性が見出せない気がする「辰」関係や穴冠関係は、きりしたん版の版心ではねぇが、平成明朝体が2チーム制で作られた結果生じたブレの痕跡だったりはすまいか等と校正作業から脱線しそうになる心を抑えて字形チェックに専念するのは、ちょっとしんどかった。