日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

巨人の肩釈迦の掌

築地五号が前記型から後期型に移行する時期について(http://dosei3.no-ip.org/~uakira/n/?date=20040811)、小宮山博史さんの「タイポグラフィの世界 書体編」連載第6回にてご紹介をいただき、ありがたやありがたやと思ってゐましたが。
府川充男さんの『聚珍録』第三篇の註4221に追記していただいてゐたと知り、もったいないもったいないと、更に恐縮中。
移行時期の調査をしてゐた期間中、私の頭にあったのは、ニュートン卿がフックとの光学論争中に残したといふ言葉「私が他の人より遠くを見ることができたとすれば、それは巨人の肩に乗ったからだ」でした。先行研究を踏まえ、しかも近代デジタルライブラリーといふ途轍もないツールの助けを借りて初めて可能になった作業。“巨人の肩の上で望遠鏡を覗く”感覚と言へば良いでせうか。
先日基礎調査を終へて後はデータを整理し文章の形にする作業を残すのみとなった秀英五号の変化についての雑文――、これまたテーマとしては“釈迦の掌の裡”の感が拭へません。
ともあれ、明治30年8月の『若菜集http://kindai.ndl.go.jp/cgi-bin/img/BIImgFrame.cgi?JP_NUM=41003471&VOL_NUM=00000&KOMA=108&ITYPE=0、これは秀英五号にとっての旧型の方だと思ひますよ、と日記に書いておくべ。