明朝の漢字と和様の仮名という組み合わせは別に珍しくもなく、目がすっかり馴染んでしまっているけれど――それでも例えば天野御民『詠史百首』(https://dl.ndl.go.jp/pid/872922/1/10)のように新しい和様二号多用例を見つけるとメモを残さずにはいられない(https://x.com/uakira2/status/968078731871842304)――、先日「『日本』紙や『国家経済会報告』等に見える謎の五号仮名」の実用例を探すために四国で出版された明治期の印刷物を眺めていた際に「菱湖風」楷書の漢字に和様の仮名という組み合わせを見かけ、この組み合わせはちょっと記憶になく、「異様」と感じてしまった。「異様」と感じてしまったのは己が無意識に持っている東夷目線というものの所為だろう。

ふと思い立って別の観点で追加の検索をかけてみたら、「「菱湖風」楷書の漢字に和様の仮名という組み合わせ」は、西国ではそれほど珍しいものではなかったかもしれないと思われた。
- 北川犁春『ゆふかほ』(https://dl.ndl.go.jp/pid/875917/1/4)
- 北川犁春『はゝきゝ』(https://dl.ndl.go.jp/pid/875674/1/5)
- 亀井晴吉・長英生『無言伝話法』(https://dl.ndl.go.jp/pid/861759/1/5)