文選箱の「最初の100本」に東京築地活版製造所のピンマーク入り活字が含まれていた話(「築地五号仮名フェイスの築地五号ボディ活字を20本並べてデジタルノギスで計った寸法のメモ(5組測定の100本中1本は築地活版のピンマーク入り)」)の続きです。
築地活文舎と「築地活文舎五号仮名」について
築地活文舎の概要については、2024年1月の記事「新しい書体の活字を製品化する際に関わる全工程の担当責任者名を掲げた唯一無二の「製字専業」築地活文舎による三号太仮名のことと国光社「晩稼流」活字のこと」をご参照ください。
「築地活文舎五号仮名」は平野活版(後の築地活版)のいわゆる築地体前期五号仮名のバリエーションのひとつと見られる書風の活字で、小宮山博史氏による復刻版デジタルフォントが大日本スクリーン製造(当時)から発売されていた際の解説が同社「タイポグラフィの世界」に掲載されています(https://www.screen.co.jp/ga_product/sento/pro/typography/05typo/05_8typo.html)。同フォントは、現在ではモリサワ扱いになっていますから(https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/1855)、ご覧になっていたりお使いになっていたりする方も大勢いらっしゃることでしょう。
築地活文舎五号仮名活字のピンマークとネッキ
『印刷雑誌』に集中掲載されていた広告中で示されている商標(丸カ)はかなり太字の「カ」でしたが(https://dl.ndl.go.jp/pid/1499001/1/13)、ピンマークとして刻印された形象は、だいぶ細字の「カ」だったようです。