「Naigai Print Co.」の初号明朝活字
「内外印刷」を社名とする法人の情報
内外印刷株式会社（東京市本所区）
1906明治39年設立、明治41年9月凸版印刷に吸収合併された。当初は明治37年1月創立の東京活版株式会社（『工場通覧 明治37年』https://dl.ndl.go.jp/pid/802716/1/236）を買収して設立されたという（『印刷雑誌』16巻5号https://dl.ndl.go.jp/pid/1499093/1/14）。東京活版は、明治37年頃から「教科書用改良活字」として「勝寶活字」を売り出そうとしていた（『漢字の原理』https://dl.ndl.go.jp/pid/862247/1/127）。
- 1906明治39年7月28日、内外印刷株式会社設立（1906明治39年8月8日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950274/1/13〉）「本店：東京市本所区番場町四番地」「目的：凸版凹版石版活版其他諸種ノ製版印刷製本写真出版及活字類ノ鋳造附属器械ノ製造販売」「取締役：菊池晋二、内野五郎三、吉川半七、林縫之助、伊藤貴志、伊藤定七、大住喜右衛門」「監査役：柿沼谷蔵、山本忠秀、渡邊和太郎」）
- 1906明治39年10月9日、支配人登記（「支配人：廣瀬鐘太郎」1906年10月12日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950329/1/15〉）
- 1907明治40年10月、取締役1名転居（「取締役齋藤知三ハ明治四十年十月一日其住所ヲ左ノ所ニ移転ス」1907年10月10日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950632/1/34〉）
- 1908明治41年4月、取締役3名辞任（「取締役齋藤知三、伊藤貴志、大住喜右衛門ハ明治四十一年四月十七日辞任セリ」1908年5月8日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950804/1/19〉）
- 1908明治41年5月、支配人解任（「明治四十一年五月三十一日取締役総員ノ同意ニ依リ解任ス」1908年6月8日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950830/1/12〉）
- 1908明治41年5月、監査役1名辞任（「監査役渡邊和太郎ハ明治四十一年五月三十一日辞任ス」1908年6月12日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950834/1/17〉）
- 1908明治41年7月、監査役2名重任（「明治四十一年七月二十八日左記ノ者重任セリ」「柿沼谷蔵、山本忠秀」1908年8月10日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950884/1/11〉）
- 1908明治41年9月29日、凸版印刷株式会社が内外印刷株式会社を合併（「明治四十一年九月二十九日東京市本所区番場町四番地内外印刷株式会社ヲ合併シ左ノ如ク資本ヲ増加ス」1908年10月21日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2950944/1/20〉）
内外印刷合資会社（東京市芝区）
1919大正8年12月設立、1938昭和13年11月解散。この間印刷会社として営業し、活字製造販売は行っていないものと思われる。
- 1919大正8年12月、内外印刷合資会社設立（「本店：東京市芝区南佐久間町二丁目十四番地」「目的：石版活版コロタイプ写真製版凸版三色写真版等ノ印刷及製本図書ノ出版発行ヲ以テ目的トス」「代表社員：渡邊素一」「有限責任社員：山田良平」1919年12月13日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2954322/1/19〉）
- 1937昭和4年10月および同7年12月、本店等の移転（「昭和四年十月三日本店ヲ東京市芝区南佐久間町二丁目五十番地ト同七年十二月一日同市同区田村町三丁目十一番地一ト各変更ス」（渡邊素一も同様）1937年11月18日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2959751/1/45〉）
- 1938昭和13年11月、解散（「総社員ノ同意ニ因リ昭和十三年十一月四日解散ス」1939年4月13日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2960173/1/40〉）
渡邊素一については二六新報社『世界之日本』（1921）に略歴あり（https://dl.ndl.go.jp/pid/946122/1/363）。
内外印刷株式会社（神戸市）
1919大正8年7月設立、1922大正11年11月解散。登記上は活字製造販売業も事業目的に含まれている。
- 1919大正8年7月28日、内外印刷株式会社設立（「本店：神戸市多聞通二丁目百四十三番屋敷」「目的：活版石版〓〓版其他各種印刷業出版業製本業洋紙売買業及活字製造販売業並ニ之ニ付帯ノ事業」「公告ヲ為ス方法：神戸新聞神戸新日報ニ掲載」「取締役：仲忠太郎、曽根貞次、廣瀬千秋、松尾小三郎、岡田定信」「監査役：西村徳三郎、柴田千豫、前田二一六」1919年11月4日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2954288/1/20〉）
- 1920大正9年4月、取締役1名辞任（「取締役廣瀬千秋ハ辞任」1920年10月18日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2954578/1/18〉）
- 1921大正10年6月29日、公告方法の変更（「公告方法ヲ当会社ノ公告ハ本店ノ店頭ニ掲示シテ之ヲ為スト変更」1922年1月9日付『官報』付録3頁下段〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2954944/1/17〉）
- 1921大正10年7月、取締役1名辞任（「取締役曽根貞次ハ大正十年七月八日辞任」1922年1月9日付『官報』付録4頁上段〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2954944/1/18〉）
- 1921大正10年6月、取締役と監査役の重任および取締役新任（「任期満了ノ所大正十年六月二十九日曽根貞次、岡田定信、松尾小三郎ハ取締役ニ、西村徳三郎、前田二一六ハ各監査役ニ重任、柴田知豫ハ取締役ニ就任」1922年1月10日付『官報』付録4頁上段〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2954945/1/14〉）
- 1922大正11年11月、解散及清算人選任（「株主総会ノ決議ニ依リ大正十一年十一月二日解散」「清算人：藤井忠兵衛、岡田定信」1923年1月10日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2955251/1/9〉）
- 1927昭和2年1月7日、清算結了（「内外印刷株式会社清算結了：昭和二年一月七日清算結了ス」「右昭和二年一月十二日登記 神戸区裁判所」1927年5月12日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2956568/1/24〉）
内外印刷株式会社（大阪市北区）
1926大正15年7月設立、1927昭和2年12月解散。おそらく活字類の製造販売は行っていないものと思われる。
- 1926大正15年7月8日、内外印刷株式会社設立（「本店：大阪市北区川崎町三十八番地」「目的：各種ノ印刷之ニ附帯スル一切ノ業務」「公告方法：本店々頭ニ掲示ス」「取締役：横田肇、亀井譲太郎、中條益蔵」「監査役：藤田利八」1926年11月9日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2956414/1/13〉）
- 1927昭和2年12月27日、解散（「株主総会ノ決議ニヨリ昭和二年十二月二十七日解散ス」「清算人：亀井譲太郎」1928年2月21日付『官報』〈https://dl.ndl.go.jp/pid/2956803/1/11〉）
内外印刷株式会社（京都市下京区）
印刷材料新報社『全国印刷業者名鑑 1922』（https://dl.ndl.go.jp/pid/970397/1/151）に名前が見える。書籍類の奥付に印刷者として名を多く見せるようになるのは昭和10年代から。
現時点では神戸の内外印刷由来と推定
この活字は、154本の初号明朝活字をまとめて入手した中に含まれていたものです。元々の印刷所等は不明だが出所はひとつだという話でした。
154本のうち、ピンマークがあるものは浪速活版製の活字を主とし、津田三省堂製のものなどが若干含まれていました。関西圏の印刷所が出所ということになるのだろうと推定し、現時点では神戸の内外印刷株式会社製だろうと推定しておきます。
なお、両サイドにピンマークが入っている活字というのは、今のところ、他に目にしておりません。
