レディング大学タイポグラフィ&グラフィック・コミュニケーション学部のPaul Stiffによって刊行されていた初期Typography papersの次の2本の記事を、何とかして読みたいとここ何年か思っていて。
- Andrew Boag「Typographic measurement: a chronology」(1996年Typography papers 1号)
- James Mosley「French academicians and modern typography: designing new types in the 1690s」(1997年Typography papers 2号)
どちらも、活字サイズの歴史に関する話題において、避けては通れないペーパーという扱いであるっぽい。
あちこち探しても国内の所蔵情報がなかなかみつからない。印刷博物館ライブラリー(http://www.libblabo.jp/toppan/home32.stm)や印刷図書館(http://mba-web.co.jp/opac/prj/opac_det.php)には無さげ。
今のところ、CiNiiブックスで引っかかるのは、女子美術大学相模原図書館(http://library.joshibi.ac.jp/)がTypography papers 6号、8号、9号を所蔵しているという情報のみ。
実はCiNiiブックスで所蔵状況が見えないにも関わらず、次の2館は各々のOPACでは一部の号がヒットする。
- 多摩美術大学図書館(https://libopac.tamabi.ac.jp/drupal/):7号、8号、9号
- 武蔵野美術大学 美術館・図書館(https://mauml.musabi.ac.jp/library/search/):5号、6号、7号
念のため、他にNACSIS-CAT接続機関としてリストアップされている図書館の中から所蔵の可能性があるところを各館のウェブOPACで個別に検索してみて、次の結果が得られている。
東京藝術大学附属図書館(http://opac.lib.geidai.ac.jp/opc/)以下、東京工業大学附属図書館(https://www.libra.titech.ac.jp/)、九州大学附属図書館(https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/)、金沢美術工芸大学附属図書館(https://www-std01.ufinity.jp/kanabi/)、愛知県立芸術大学芸術情報センター図書館(http://aigei-library.blogspot.com/)、京都市立芸術大学附属図書館(https://libwww.kcua.ac.jp/drupal/)、名古屋芸術大学(東キャンパス図書館 https://lib-e.nua.ac.jp//西キャンパス図書館 https://lib-w.nua.ac.jp/)、京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)芸術文化情報センター(http://acic.kyoto-art.ac.jp/)、大阪芸術大学図書館(http://osaka-geidai-lib.jp/index.html)、東北芸術工科大学(https://library.tuad.ac.jp/)、長岡造形大学附属図書館(http://opac.nagaoka-id.ac.jp/top/)は、所蔵していない模様(少なくとも各館のウェブOPACでは検出できない)。
結局のところ、残念ながら1号・2号を所蔵するところは見当たらないままだ。
このように国内図書館の所蔵情報に行き当たらないだけでなく、ヤフオクや日本の古本屋、あるいは海外の古書流通情報も見かけたことが無い。
WorldcatでTypography papers 1号と2号を検索して見つかる所蔵館は、アメリカの大学図書館4館。ウチの野郎ッコが大学生になるのを待つか、自分が海外ILL対応図書館利用のためだけにどこかの大学の聴講生等になってしまうか、さて。
――と思い悩んでいたわけなのだけれども。今回改めて1号・2号に限定せずにTypography papers の所蔵館をWorldcatで探してみたら、British Libraryが当該号を所蔵していることが判ったので、思い切ってBLのオンデマンドアカウントを登録することにした。
「Pay as You Go」という使った分だけ払うアカウントを作成し、「普通画質で鈍行対応」「鍵かけPDFダウンロード」という値段が一番安くなるパターンを選択。
この「最安」条件でどのような仕上がりのPDFが届くのかが判らないので、先に読みたいと思っていた2号(Mosleyの方)だけを注文。
ちなみに「鈍行〈within 4 days〉」は「4営業日」なので、金曜夜に注文してしまった結果6日間経過してから「準備できたよ」というメールが届いた。
指定したカードからの引き落とし通知は、注文時(先払い)ではなく、準備完了時(後払い)だった。これはたぶん登録時のあれこれをじっくり見ていけば、そのようなシステムだと書いてあるだろう。
全部でA4サイズ24頁分のペーパーに、BLオンデマンドとしての注意事項を記した表紙がついたPDFの取得費用は32ポンド(1ページあたり約180円)だった。内訳は、「Copyright cost」が20ポンド(約2700円)で、「BL Service cost」が12ポンド(約1600円)。
「個人の調査研究のための図書館資料の複製を,無許諾で行う」権利を自由に行使するために、まともに機能する著作権集中管理機関を運営するというアングロサクソン国家(1995年の記事:「CA1029 - 英国図書館,コピーサービスに関し著作権管理団体との間で新協定 / 岡村美保子」https://current.ndl.go.jp/ca1029)のことを、ちょっと羨ましく思ってしまった。