Fredson Bowers「Bibliography, Pure Bibliography, and Literary Studies」(1952年『The Papers of the Bibliographical Society of America』46巻3号)を斜め読み。
山下浩氏によって、
英米の書誌学会は、通常 Pure Bibliography といわれる印刷工程や植字工、活字、製本等を含む細かい基礎研究をベースに、出版史(書物史)、印刷史、本文研究、全集編纂、各種の書誌編纂等、実に多くの分野に関心を示している。
――という具合に「Pure Bibliography」という語が紹介されている(http://www008.upp.so-net.ne.jp/hybiblio/4_04.htm https://www.hiroshiyamashita.com/4_04.htm)のを見てから気になっていたペーパーなのだけれど、なかなか手に取るまでに至らなかった。
で、斜め読みしてみて。
自分が読み落としたかもしれないのだけれど、Bowersは少なくともこのペーパーでは上述の「細かい基礎研究」のことを「Historical Bibliography」および「Historical Bibliography」に基づく「Analytical Bibliography」――この「分析書誌(学)」というのは、Walter Wilson Gregの概念を受け継ぐもののようだ――と呼んでいて、「Pure Bibliography」という語の定義を直接的には行っていないっぽい。
途中で「pure form of analytical bibliography」云々というくだり(194頁)があるから、ここから10〜20年くらいの間の英米の書誌学会の歩みの中で、分析書誌(学)の手法が「Pure Bibliography」という呼び名で定着していったってことか?
W. W. Greg「What is Bibliography?」もいずれ見ておきたいと思うけれど、あちこち検索してみた感触では、『Collected Papers』に纏められた形でしか今はアクセスできないっぽい。