日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

誠貫堂活版製造所のピンマーク入り初号明朝活字

過日、名古屋の誠貫堂活版製造所が鋳造した初号明朝活字を入手していました。 誠貫堂活版製造所が鋳造した初号明朝活字(ピンマーク斜め方向)誠貫堂活版製造所が鋳造した初号明朝活字(ピンマーク正面)以前から「印刷業者名鑑」類や業界紙の広告から商標等…

朝日堂活版製造所の二重円型ピンマーク入り初号明朝活字

先日、大阪朝日堂活版製造所が鋳造した初号明朝活字を入手しました。 朝日堂が鋳造した「二重円型」ピンマーク入り初号明朝活字(ピンマーク斜め方向)「朝日堂活版製造所の朝日印ピンマークと㊹ピンマークが同じ面に刻印された初号フェイス42ptボディ活字」…

大阪青山進行堂の初号活字と一号活字・二号活字でピンマークのフォーマット類型を考える

2023年の記事「大阪青山進行堂のピンマーク6種と活字書体3種(付:青山督太郎の略歴と生没年――没年の典拠情報求む――)」の時点ではまだよく判っていなかった、青山進行堂が鋳造した初号活字に見られるピンマークのバリエーションが出揃ったのではないかとい…

大阪活版所(大坂活判所)が明治3年「5月に開業」したという説の根拠かもしれない五代友厚関係文書MFの複写が「破損・劣化」のため謝絶されてがっかりしている話

大坂の「活判所」が開設されたのは明治3年のいつ頃か 本木昌造が長崎で起こした活版印刷事業は、明治3年から5年にかけて、大阪、京都、横浜、東京と東漸し事業拠点を増やしていきます。最初期の伝記資料である「本木昌造君の行状」には、次のように書かれて…

宮澤賢治『春と修羅』初版本(関根書店、大正13〔1924〕)に見える版面の回転は2頁掛け印刷の痕跡ではないか

前々回の「#組版書誌 ノオト:宮澤賢治『春と修羅』初版本(関根書店、大正13〔1924〕)本文および本扉ならびに詩題の組み方について」を踏まえて前回、「宮澤賢治『春と修羅』初版本は活字組版を4頁掛にして「手刷の小さな機械」で刷ることができたか」を検…

宮澤賢治『春と修羅』初版本は活字組版を4頁掛にして「手刷の小さな機械」で刷ることができたか

さて、小倉豊文「『春と修羅』初版について」(宮沢賢治研究会編『四次元』昭和30年4月号〔第7巻第4号〕、復刻版:国書刊行会『宮沢賢治研究 四次元 第4冊』〔昭和57年〕)には、『春と修羅』初版本を手掛けた「地元花巻の印刷屋」のことが「田舎町の印刷屋…

#組版書誌 ノオト:宮澤賢治『春と修羅』初版本(関根書店、大正13〔1924〕)本文および本扉ならびに詩題の組み方について

先日の「宮澤賢治『春と修羅』初版(関根書店、大正13〔1924〕)各本の様々な込物飛び出し跡とTypographic errorなど」(2025/09/22)に記した通り、「宮澤賢治『春と修羅』初版本に使われている活字のうち盛岡の山口活版所から買い足されたものを想像する(…

モトヤ商店の㋲ピンマーク入り初号明朝活字と一号明朝活字

金属活字、写植、デジタルフォントと技術環境の変化に寄り添いながら和文活字書体を供給し続けてくれている株式会社モトヤ(https://www.motoyafont.jp/)は、昭和331958年に社名変更するまで、株式会社モトヤ商店という商号を掲げていました*1。株式会…

宮澤賢治『春と修羅』初版(関根書店、大正13〔1924〕)各本の様々な込物飛び出し跡とTypographic errorなど

先日の「宮澤賢治『春と修羅』初版本に使われている活字のうち盛岡の山口活版所から買い足されたものを想像する(前篇)――大正末の山口活版所の仮名活字はどのようなものだったか――」と「宮澤賢治『春と修羅』初版本に使われている活字のうち盛岡の山口活版…

〈『カムイ伝』の「印刷原版」〉としてネットオークションに出ていた例のブツは小島剛夕『秘剣影流し』(芳文社「長編コミック傑作集2」、1968.9)の亜鉛版だった模様

2025年8月29日付「〈『カムイ伝』の「印刷原版」〉としてネットオークションに出ていた小島剛夕『土忍記』亜鉛版の素性が知りたい話」に対して、『コミックmagazine』での初出掲載からほどなくして編まれた作家別(作品別)「長編コミック傑作集」の版なので…

盛功社吉田民助の特許である中空大型活字鋳造装置によって太平洋戦争期に鋳造されたものと思われる初号明朝活字

近畿地方のある印刷所さんに伝存していた1731本――このうち45%強が有徴ピンマーク入り――の初号明朝活字を3年がかりでお迎えさせていただいたのですが、最終便の中に1本、特殊な製法による活字が含まれていました。 中空ボディーの初号明朝活字「滅」脚部(斜…

〈『カムイ伝』の「印刷原版」〉としてネットオークションに出ていた小島剛夕『土忍記』亜鉛版の素性が知りたい話

新聞やマンガ雑誌の印刷というと、輪転機用の曲がった鉛版・亜鉛版を思い浮かべてしまうわけですが(「マンガ雑誌の樹脂版」(2010/10/29)・「マンガの印刷と樹脂版」(2012/04/17))、2022年第1四半期からヤフオクに出ていて9月末に落札された「島原新聞…

今彦活版が鋳造した「今」印ピンマーク入り初号明朝活字

「今」印ピンマーク入り初号フェイス活字(斜め方向)「今」印ピンマーク入り初号フェイス活字(ピンマーク正面方向)これもまた先日の「★印ピンマーク入り初号活字は東洋活版製造所が鋳造したものであろうと判断するに至った話」で触れた、「印刷業者名鑑」…

田村活版製造所のカネヨ印ピンマーク入り初号明朝活字と一号明朝活字

「カネヨ」印ピンマーク入り初号フェイス活字と一号フェイス活字(斜め方向)「カネヨ」印ピンマーク入り初号フェイス活字と一号フェイス活字(ピンマーク正面方向)先日の「★印ピンマーク入り初号活字は東洋活版製造所が鋳造したものであろうと判断するに至…

「○河」ピンマーク入り初号活字は河内堂が鋳造したものであろうと判断するに至った話

「○河」印ピンマーク入り初号フェイス活字(斜め方向)「○河」印ピンマーク入り初号フェイス活字(ピンマーク正面方向)先日の「丸に篆書「木」のピンマークは木戸活字のものなのか興文堂あるいは鶴賀活版のものなのか #NDL全文検索 で館内限定資料から手が…

★印ピンマーク入り初号活字は東洋活版製造所が鋳造したものであろうと判断するに至った話

少し前に、「★」印のピンマーク入り初号活字を入手していました。 「★」印ピンマーク入り初号フェイス活字(斜め方向)「★」印ピンマーク入り初号フェイス活字(ピンマーク正面方向)先日の「丸に篆書「木」のピンマークは木戸活字のものなのか興文堂あるい…

「菱湖風」楷書活字と和様仮名の組み合わせ

明朝の漢字と和様の仮名という組み合わせは別に珍しくもなく、目がすっかり馴染んでしまっているけれど――それでも例えば天野御民『詠史百首』(https://dl.ndl.go.jp/pid/872922/1/10)のように新しい和様二号多用例を見つけるとメモを残さずにはいられない…

意匠公報データベースに残る和文活字など「第22類活版」の意匠登録――明治20~30年代の9事例

弘道軒「篆体片仮名」(明治23年) 明治21年12月18日に公布された勅令第85号「意匠条例」(https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/Detail_F0000000000000014318)によって和文活字書体の保護が企図された最初の事例と思われるのが、弘道軒の神崎によ…

丸に篆書「木」のピンマークは木戸活字のものなのか興文堂あるいは鶴賀活版のものなのか #NDL全文検索 で館内限定資料から手がかりを得た話

少し前に、「"齧られ丸"に篆書〔木〕」のピンマーク入り初号活字を入手していました。 「"齧られ丸"に篆書〔木〕」ピンマーク入り初号フェイス活字(斜め方向)「"齧られ丸"に篆書〔木〕」ピンマーク入り初号フェイス活字(ピンマーク正面方向)以前、大正11…

字游工房の中野正太郎さんによるATypI 2025 presentationはnoteの記事「美華書館3号活字・Marcellin Legrand・号数制の覚え書き」の発展形?

実は昨年の初夏、字游工房の中野正太郎さんが「August Beyerhaus(美華書館二号活字の制作者)について」というnote記事を書かれた直後にお目にかかってサシで諸々お話しさせていただく機会に恵まれました。当日伺った「現在進行中」の話題が、2024年8月に公…

セクト・ポクリットの輪番連載「ハイクノスガタ」第3回「掌上の沈黙 ──『黙示』富沢赤黄男──」を拝読して気になった火曜印刷の活字

「俳句がもっと楽しくなるポータルサイト」と銘打たれたウェブサイト「セクト・ポクリット」で2024年11月下旬に始まった新連載「ハイクノスガタ」ですが、字游工房の書体デザイナであり俳人である木内縉太さん(https://x.com/kinouchi9)による第1回「子規…

クロックスとセメダインスーパーX2

職場の室内履きとして10年使っているクロックスの、なぜか右だけ何度も接着剤がヘタレて剥がれかかってしまう。しかも決まって右後半部。ここ3年ほど、その都度セメダインスーパーX2(シリコーンゴムにも効くと謳う数少ない接着剤)で補修している。先週右後…

ははははは母はははなりははははは

母が先日逝去した。平均寿命には届かなかったが、天寿を全うしたと言ってよいだろう。弟が実家に同居し、晩年の父・母を支えてくれていた。アルツハイマー型認知症の診断が下りる以前から本人的には自分が本調子ではないという自覚があり何度も検査を受けて…

宮澤賢治『春と修羅』初版本(関根書店、1924〔大正13〕)の所在

宮澤賢治『春と修羅』初版本(関根書店、1924〔大正13〕)について、ウェブOPAC類で所在確認してみました。紙の本については所在情報確認順に丸数字(①②③……)で通し番号を振り、全ページの閲覧が可能なデジタル画像についてはアルファベット(ⒶⒷⓒ)を振りま…

宮澤賢治『春と修羅』初版本に使われている活字のうち盛岡の山口活版所から買い足されたものを想像する(後編)――大正活版所(吉田印刷所)の規模感と漢字活字セット――

森荘已池『宮沢賢治の肖像』(津軽書房、1974年)に要所要所で出てくる、山口活版所の当時の代表者山口徳治郎氏からの聞き書きのうち、「『注文の多い料理店』二人」の項で取り上げられている話(「昭和15年2月7日の聞き書き」)に曰く(252頁 https://dl.nd…

宮澤賢治『春と修羅』初版本に使われている活字のうち盛岡の山口活版所から買い足されたものを想像する(前篇)――大正末の山口活版所の仮名活字はどのようなものだったか――

ここしばらく集中的に調べている地方別の「謎の五号仮名」用例。先日の「岩手における「謎の五号仮名」用例を探してみて仮称「西磐井活字」は盛岡市内丸の山口活版所で明治30年代に使われていた本文活字だったのではないかと驚いている話」にある通り、どう…

岩手における「謎の五号仮名」用例を探してみて仮称「西磐井活字」は盛岡市内丸の山口活版所で明治30年代に使われていた本文活字だったのではないかと驚いている話

このところ追っている、「『日本』紙や『国家経済会報告』等に見える謎の五号仮名」の件。「北の大地に渡っていた謎の五号仮名」で見た北海道の事例に続く前回「青森と秋田の「謎五号」用例」で北東北のうち国会図書館デジタルコレクションで出版地が青森と…

国会図書館デジタルコレクションを素材に明治大正期の出版史や印刷史を調べるために都道府県単位で「出版地」を絞り込みたい場合は

昭和18年の『日本目録規則』(https://dl.ndl.go.jp/pid/1122648/1/22)や『日本目録規則 1952年版』(https://dl.ndl.go.jp/pid/2932039/1/27)以来の規則により、出版者の所在が「町村」の場合や同名弁別のために都道府県名等が付記される場合を除いて、「…

青森と秋田の「謎五号」用例

このところ追っている、「『日本』紙や『国家経済会報告』等に見える謎の五号仮名」の件、「北の大地に渡っていた謎の五号仮名」で見た北海道の事例に続いて、今回は北東北のうち国会図書館デジタルコレクションで出版地が青森と秋田の資料状況を見ておきた…

築地活版解散後に発行されたことが明らかで「築地体」の活字が掲載されている活字見本帖『民友社の活字』

1930年代から40年代に東京築地活版製造所以外で売られていた「築地体」の活字 例えば森川龍文堂『活版総覧 : 和欧文活字と印刷機械』(昭和81933年 https://dl.ndl.go.jp/pid/1209922/1/20)に見られるように、東京築地活版製造所以外でも「築地体」の活…