日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

渡辺順三の徳永直第一印象と共著『弁証法読本』のこと

渡辺順三『烈風の中を』(1971、東邦出版社)の中に、徳永直の第一印象のことが、かう記されてゐる。 私が徳永君とはじめて会ったのは、たしか昭和六年の夏であったと思う。私が池袋から世田谷の豪徳寺裏に移ったのがその年の四月で、それから少しおくれて徳永…

渡辺順三と徳永直が転向出獄直後の中野重治を訪ねた話

先日は標記の件について間宮茂輔「作家同盟の周辺にいて(三)――プロレタリア文学運動の回想――」(『文化評論』1969年12月号)に書かれてゐたものをメモしてみた己なんだども、渡辺順三『烈風の中を』(1971、東邦出版社)の中には、かうあった。 そのころのことで…

橋本英吉「徳永直との三十年」によると

まだ徳永が存命で、壺井栄の妹との破局問題があれこれと騒がれてゐた頃に書かれた、橋本英吉「徳永直との三十年」(『新潮』1956年8月号)のコピーが国会図書館から届いた。 残念ながら、徳永と碁を打つ話などは出て来ないんだども、己にとって興味深い、ふた…

立野信之が見た橋本英吉と徳永直

講談社版『日本現代文学全集』第89巻「伊藤永之介 本庄睦男 森山啓 橋本英吉 集」に付属の「月報94」(1968年7月)に書かれた立野信之「橋本英吉のこと」には、立野と橋本の出会ひの頃のこと、小林多喜二が立野宅にゐたところに特高がやってきて小林と立野が捕…

立野信之と徳永直による小林多喜二の第一印象

倉田稔『小林多喜二伝』(asin:4846004082)746頁に、やはり出所が明示されないで書かれてゐる、上京直後の多喜二の第一印象―― 上京した多喜二に立野信之は、「お前は背のスラリとした貴公子かと思っていた」と言い、片岡鉄兵は「君が本当の小林君ですか」と聞…

徳永直による内田巌追悼の文章

先日借覧した風間道太郎『憂鬱な風景●人間画家・内田巌の生涯』(1983、影書房)によって、徳永直には『美術運動』に書いた「内田巌さんについて」といふ追悼文があることを知った。 その1月13日付の記事に書いたやうに、日本美術会編、科学新興社発行の雑誌『…

渡辺順三が豪徳寺に移り住んだ頃の話

倉田稔『小林多喜二伝』(asin:4846004082)774頁に、やはり出所が明示されないで書かれてゐる、「当時、下落合にあったナップの事務所で会合が開かれた。このナップの会合で、渡辺順三は、民主的な討議のやり方などをはじめて見ておどろいた。」云々といふ箇…

渡辺順三と徳永直が小林多喜二『党生活者』の伏字なしゲラを読んだ話

経堂・豪徳寺仲間だった渡辺順三と徳永直が、小林多喜二『党生活者』の伏字なしゲラを読んだ話が、倉田稔『小林多喜二伝』(asin:4846004082)に出てくる http://blog.goo.ne.jp/takiji_2008/e/28cda157389b72f57629388aba088809 ――といふので倉田“多喜二伝”ば…

間宮茂輔『党員作家』『三百人の作家』の徳永直

間宮茂輔『党員作家』(昭和33年12月20日、同光社出版)と『三百人の作家』(昭和34年5月15日、五月書房)ば借覧。 曽根といふ名を与へられた、間宮自身であらう主人公と共に、徳永直をモデルとした登場人物について多くの紙面が費やされてゐる『党員作家』。「…

『台約爾傳』が届きました

購求法を思ひ悩んでゐた香港海外基督使團の『雖至於死――台約爾傳』(サミュエル・ダイアの伝記)について、助力をお申し出いただいてゐたわけなんだども、おかげで現在手元に届いてゐる。 ご尽力いただいた方々に、深く感謝。 さて、基督教伝道、漢字活字開発…

島木健作の世田谷時代と徳永直・森山啓

島木健作のデビュー作となった「癩」が徳永直らの推薦で発表されたことは、間宮茂輔の記事によって先日知った。 島木健作全集第十五巻(1981、国書刊行会)に再録された、『新日本文学全集・第十九巻・島木健作集』(昭和十六年五月、改造社)附載の自撰年譜、昭…

中野重治・徳永直と経堂の内田巌

内田魯庵の長男で画家の内田巌、彼もまた世田谷の経堂・豪徳寺仲間の一人だったことは、中野重治の徳永直追悼文「やはり早すぎた」によって知った。 浦西和彦編『人物書誌大系 1 徳永直』(asin:4816901280)によると、『世界』1954年2月号(通巻98号)に徳永直…

北沢二丁目橋本英吉の昭和二十年夏

中野重治が書いた徳永直の追悼文(全集18巻所収「やはり早すぎた」)中に、かういふ記述がある。 世田谷の経堂、豪徳寺へんに互助会というのがあつた。戦争でひどくうるさくなつたころ、月一回くらい集まつてなにがな心やりにしやべり合うという集まりだつたが…

海野十三が見た世田谷の空襲

さて、過日中野重治『敗戦前日記』(asin:4120022714)で眺めた東京の空爆については、世田谷区若林に住んだ海野十三もまた、『海野十三敗戦日記』(asin:4122045614)さ書き残してゐる。 前半が、「空襲都日記」と名づけられた、空爆の記録である。帝都への空襲…

TeX、raisebox、kern、scaleboxよる合字

徳永直『光をかかぐる人々』のTeX→PDF化作業メモ。 本日は河出書房版317頁にある、JIS X 0213外字「舟走」の件。 先日記した通り、この文字が左右合成型であることを活かし、「古典籍のためのTeX」にて原理が紹介されてゐる、raiseboxコマンドとkernコマンド…

TeX、マイナス値の¥parindent

徳永直『光をかかぐる人々』のTeX→PDF化作業メモ。aozora.sty前提。 本日は河出書房版96-98頁にある、林子平『海国兵談』印刷費用内訳の表現。 普通に考へると、論理で箇条書きにするか、物理で段落行頭のマイナスインデント。 HTMLで云ふ<UL>に相当するitemize</ul>…

2010ねんのはうふ

まず河出書房版の徳永直『光をかかぐる人々』と、『世界文化』連載分を、定本化する。 Mac mini購入前の、自宅PC再起動不能時に取得した暫定マシン(中古ThinkCentre)にFreeBSD 8.0がインストールできなかったので、Editor's Work Benchの試用は依然として諦…