日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

ときどき休む研究生活

明石書店から9月1日付で刊行(https://www.akashi.co.jp/book/b472224.html)の荒木優太編『在野研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活』に、「点をつなごうとする話」という小文を寄稿しました。

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

ファンタジスタでは全くないし、スーパーな何かを持ち合わせているのでもない、ひとりの地味な在野研究者(フィールド・プレイヤー)が――決してヒーローではないけれど――泥臭く黙々と走っている姿を黙って差し出すのが自分の役割だろうと判断し、そういう文を書いてみました。

表題が「点をつなごうとする話」なのは、人生の色々な寄り道が、現在地から振り返ればゼロから「自分の1」を起こすのに必要な(ひょっとすると最短の)道のりだったという例のアレです。「点をつなぐはなし」じゃなく「点をつなごうとする話」なのは、まだ途中だと思っているからです。そのうち全然違うルートを掘り進めているかもしれません。


「勝手にはじめ」た当時のセルフ応援歌がTriceratopsGoing to the Moon」だったことを思い出しました。「あの娘の愛に触れたいと」の「あの娘」がメーティスかミネルヴァ、アテネだったら、「まだまだ足りないから」という思いを原動力に「月にいくほど遠く長い道も歩いていけるさ」と信じられる、そういう感じ。

息子がライダーを見るようになったのはディケイドが終わってWが始まる頃だったのですが、その頃に知った平成ライダーの主題歌のうち、「Round Zero - Blade Brave」、「Next Level」、「Climax Jump」には、何度も気分を上げてもらいました。

先人から受け取ったバトンを次のランナーに繋ぐのが「学問」とか「研究」とかいう人類の営みの中での各人の役割だとすると、特に自分の場合はかなりマイナーなジャンルに携わってしまったという自覚があるので、自分が気持ちを切らすことがイコールジャンルの死滅という責任の重さを勝手に感じており、今でも仮面ライダーに助けられています。

ほんとうは、「大学に属していない研究生活」を勝手にはじめるだけでなく、勝手にやめてもいいはずと思うのですが、当面は、ときどき休みながら続けていくつもりです。まだ足りないから。


以下追記。
9月5日に自分のパートを読み返してみた際に、誤記の見逃しに気がつきました。100頁冒頭、「三 Oradamoフォントをつくる」は、「三 Oradanoフォントをつくる」が正しいです。謹んで、訂正申し上げます。