例えば、ハルノートの「黙殺」に関わった外交官である来栖三郎の『泡沫の三十五年』(の1コマ目)を見ると、近デジ開始時点では(来栖のような人物ですら)著作権者不明で文化庁長官裁定扱いだったことが判る。
というか、この1コマ目を見た際に、「えっ、来栖三郎って裁定公開なの!?」と、ちょっと驚いた。NDLが没年を確認できる印刷資料や縁故者を見つけられないケースなのかと思ってしまったのだけれど、来栖の場合、遅くとも現行フォーマットのNDL書誌データが作成された2010年までには没年が判明したようで「保護期間満了」によるインターネット公開であるというメタデータが付与されている。
十日ほど前からNDLによる著作権情報公開調査が始まっていることが念頭にあったために過敏な反応をしてしまっただけかもしれないのだけれど、「裁定公開」と記載された画像がそのまま残存してインターネット公開されていてることが、いいことなのかどうか、ちょっと不審な気持ちになってしまった。
『泡沫の三十五年』のような資料に関しては、次のどんな扱いがいいのだろう。
- 現在は保護期間満了である旨がメターデータで提供してあれば、当初の資料提供時点の「裁定公開」情報記載コマがそのまま閲覧可能で構わない
- 「裁定公開」コマのみ404(not found)や403(forbidden)の扱いにする
- 「裁定公開」コマに保護期間満了である旨の注意書きを上書き表示(Ajax的に?)
- コマ画像の扱いも工夫した上でメタデータ中でも「当初裁定公開扱いだったウェブ資源」である旨を(何らかの形で)追記
近代デジタルライブラリーのあゆみに記載されている、平成17年と18年に文化庁長官裁定で公開された資料(合計約72000点)の現況と今後を、ぼんやり想像してみている。
過去11回にわたって欠かさずNDLデジコレ友の会報『月刊NDLデジコレメタデータWatch』を発行されてきた2sc1815jさんが、次回、一周年記念特大号を企画されているようなのでとても楽しみ。