日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

ピケティ『21世紀の資本』の組版と印刷製本

ピケティをフィーチャーした「パリ白熱教室」の放送を始めたNHKが、先日、《『21世紀の資本』日本でも反響 増刷相次ぐ》というニュースを流していた。
ニュース詳細のサイトに

『21世紀の資本』を買い求める人が後を絶たないなか、製本会社には発売直後から増刷の発注が相次ぎ製本作業に追われています。『21世紀の資本』の製本を一手に引き受けている東京・新宿区にある製本会社には発売直後から5000部から数万部の増刷の発注が毎週のように寄せられています。

――と書かれていて、ビデオの2分49秒あたりに製本工場のラインが映されている。
21世紀の資本』奥付には、発行所がみすず書房であることの他、「本文組版 キャップス」「印刷・製本所 萩原印刷」と明記されているところが好ましいのだけれど、文京区にある萩原印刷株式会社のサイトにある実績・実例のページに掲載されていないところを見ると、NHKが取材したのは別の萩原印刷か。
組版を担当したキャップスのサイトには使用実例として『21世紀の資本』が掲げられていて、仮名が例のオリジナル書体「文麗仮名」であることが判る。
文麗仮名、みすず好みだろうという印象は持っていたけれど、使用事例を見るまで、こんなにも使いまくっているとは気がつかなかった。2010年の『カフカ自撰小品集』が、みずず書房が文麗仮名を使い出した最初の本だろうか。
誰の仕業だろう――というところが気になるのは、オルタナ三部作の影響だ。



以下1月13日追記

Facebookで雪朱里さんから、次のようなコメントをいただいた。

萩原印刷のサイトで設備を見ると、製本ラインは持っていないようなので、製本は協力会社に外注していると思われます。「印刷・製本」とクレジットされていても、そこに記されているのは元請けとなる印刷会社のみで、実際の作業を行っているのは別の会社というのは、よくあることです。製本会社が明記されないことは、やはり多いのです。
上製本を手がけられる会社は限られていますので、新宿区でこれだけの規模の仕事をこなせる製本会社と聞いた時点で、恐らくあそこであろうという会社が思い浮かびます。

これを受けて再確認してみたところ、『21世紀の資本』を手がけたのは、PURという特殊な無線綴じが売り物の加藤製本であることが判明した。

ウェブサイトのNEWSコーナーには『デザインのひきだし23』の紙上工場見学に取り上げられたことは掲げてあるけれど、NHKニュース7の件には言及がない。
ウェブサイトにツイッターアカウントの記載がないのは、奥ゆかしいというか何というか、ちょっともったいない感じがするので、サイトのリニューアルを押し売りしたい気分だ。