日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

孫崎享『戦後史の正体』の本文組

孫崎享『戦後史の正体』―

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書1)

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書1)

―について、「孫崎享著「戦後史の正体」は、日本人全員必読の書だと思う。解り易く、また敬体で読み易い。が、字間行間が狭く活字も小さい。 結局は読み辛い。これもしかして、ア〇リカさんに睨まれないよう、出版社がわざとやっている!? 」と書いたツイートがあることを知った。
https://twitter.com/peergyntbot2/status/275405246371606529
これについては、「文字サイズや行間は、この手の論説本としては標準的、字間はベタ。小さいの狭いのというのは、いわゆるベストセラー本と比べての印象か」とするツイートも見かけたが、どのように標準的なのか、数字で比べてみよう。
https://twitter.com/koikekaisho/status/275425846746025986
孫崎『戦後史の正体』は、四六判本文13級ベタ43字詰18行(行送り21.5歯=行間8.5歯)で組まれているようである。
では、現在平台で同書と隣り合っているような類書と、見比べてみよう。
同じ秀英明朝を本文に採用している文春文庫版の内田樹『街場のアメリカ論』―
街場のアメリカ論 (文春文庫)

街場のアメリカ論 (文春文庫)

―の場合、本文9DTPポイントベタ39字詰17行(行送り13ポ=行間4ポ)で組まれているようである。こちらの方が文字が一回り小さく、また文字サイズと行間の比率で見ると行間が狭いことがわかる。
光文社新書内田樹『街場のメディア論』―
街場のメディア論 (光文社新書)

街場のメディア論 (光文社新書)

―は本文13級ベタ41字詰15行(行送り23歯=行間10歯)で組まれているようである。本文サイズは同じ13級だが、確かに、行間が僅かに広い。
内田関連で四六判の『この国はどこで間違えたのか』――の場合、これも本文13級でベタ43字詰17行(行送り23歯=行間10歯)で組まれているようで、なるほど『戦後史の正体』よりも1行少ない分行間が広い。
では逆に、ちくま新書になっている孫崎享『日本の国境問題』―
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)

―はどうだろう。本文13級ベタ40字詰16行(行送り21歯=行間8歯)で組まれているようである。内田本よりも、また『戦後史の正体』よりも行間は狭い。
孫崎享アメリカに潰された政治家たち』―
アメリカに潰された政治家たち

アメリカに潰された政治家たち

―の場合は、さすが即席本というべきか、四六判本文14級ベタ38字詰16行(行送り26歯=行間12歯)で組まれているように見え、なるほど本書と比べれば、『戦後史の正体』はギュッと詰まって見えるだろう。
近くに並ぶスカスカ本の最高位は吉本隆明『第二の敗戦期』―
第二の敗戦期: これからの日本をどうよむか

第二の敗戦期: これからの日本をどうよむか

―で、四六判本文14級38字詰14行(行送り27歯=行間13歯)で組まれているようだ。
S島など、似通ったテーマでもっとスカスカであろう本は、たぶん「ト」のコーナーになってしまうのだろう、近くには見当たらなかった。