日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

神戸芸工大『トビオ』所収「海賊版から見たアジアまんが史」

リツイートのありがたみをしみじみ。本件は @nnnnnnnnnnn さんのツイート*1を @guilloid さんのリツートによって知った。
神戸芸術工科大学まんが表現学科オフィシャルマガジン『トビオ』所収の「海賊版から見たアジアまんが史」。これはすごい。
今年相次いで出版された、大塚英志『映画式まんが家入門』(asin:4048685627)と、みなもと太郎大塚英志『まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史』(asin:4046214465)を追ってきた己。
海賊版をキーワードにする、同大大学院の留学生二人による論文と、指導教官である大塚英志の序文、どちらもとても興味深い。
大塚英志の序文「アジアまんが史の構築のために」における《二人の評論のテーマである「海賊版」はアジアまんが史構築において最も重要な問題となるはずである》といふ表明は、

日本のまんが史は「ディスニーの海賊版」として始まった、という事実から日本人であるぼくたちが目をそらさないことである。ぼくはこの国のまんが史は「ロシアアヴァンギャルド理論でディズニーを受容するねじれによって成立した」といつも主張する

――云々(『トビオ』pp.117-118)といふ、『映画式まんが家入門』が云ふ意味での「映画的手法」なるマンガ文体、

海賊版」とはこのように一つの形式や文体が文化圏を越えてそのエリアの中で根をおろし発展していく過程として存在する

――といふ視点によって解明されるべき課題として、己達の前に提出される。
この『トビオ』、オンラインで全部読めるところが実にありがたい。
http://actibook.la.coocan.jp/tobio3/_SWF_Window.html