日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

写植でネガ印字(黒地に白文字)ってアリなんだべか

写真植字機の入門書類を見る限り、写真植字機は白い印画紙に黒い文字を印字することになるものであるらしいんだども、ひとつ疑問に思ふことがある。
松本零士銀河鉄道999』の第一巻から、少年画報社ヒット・コミックス版第一巻の表題でもある、「タイタンの眠れる戦士」の回の扉題字を、ヒット・コミックスバージョンと小学館叢書バージョンで比べてみると:

印刷や製版などについて己は全く素人なので、美術出版社『印刷・製版の表現技法』(asin:456832162x)に倣って記してみると、ヒット・コミックスの題字が「白フチドリ」の黒い文字であるらしく見えるのに対して、小学館草書の題字は一見「白ヌキ」の文字に見えるんだども。
写真では判りにくくなってしまったかもしゃねんだども、実は小学館叢書版を良く見ると、「白ヌキ」文字に「スミフチドリ」をした――という状態よりも大きな矩形状に背景の「星」が塗りつぶされてをり、黒地の帯に白い文字を乗せたような仕上がりになってゐる。
まるで「写植でネガ印字をした」もの(黒地に白文字)を短冊状に貼り付けたかのやうだ、と感じた己なんだども、さて、そんな出力が可能だったのかどうか。またそんなことをする意味があるのかどうか。よく判らない。
「白ヌキ」や「白フチドリ」などの文字は、出力された写植印画紙をマンガ編集者が原稿に切り貼りして版下作成といふ手順でなく、プロの製版作業者の手に委ねられてゐたと思ふ己なんだども、さて、では、上記小学館叢書の題字のよーに白ヌキ文字の背景を矩形に塗りつぶすよーな指定はどういふものになるんだらう。これまた、よく判らない。
……
ヒット・コミックス版第一巻で各回の題字を眺めてゐると、「白フチドリ」の「フチ白」の太さが一定でなく、「フチ白」が太めの回(「タイタンの眠れる戦士」も太めの回)や細めの回がバラバラに混ざってゐて、編集部と製版者が共に手探りだったらしく感じられるのが、また興味深いことである。
……
ところで、仮に写植でネガ印字(黒地に白文字)が可能だったとして、果たして原稿がスミの箇所に上からモノを貼り付けたりしても大丈夫なんだべか。といふのもまた、よく判らない。
本日は判らないことだらけ。