日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

吉増剛造氏の詩に食ひ違ひ両側ルビって出現しますか?

先日の日記『やはりHTML5にはcomplex rubyが必要ではないか』さ、「吉増剛造さんの電子書籍版詩集を担当する人は必読」といふtweetば頂戴した。
恥ずかしながらこのtweetを拝見するまで吉増剛造氏の詩集ば見たことがなかったので、どんな超絶両側ルビが出現するのかとwktkしながら、『続・吉増剛造詩集』(asin:4783708827)、『続続・吉増剛造詩集』(asin:4783708835)、『螺旋歌』(asin:4309006310)、『天上ノ蛇、紫のハナ』(asin:408774759X)ば拝読。
うーん、確かに平仮名のルビと片仮名のルビが使ひ分けられるなど、印刷される詩のカタチ、印刷されるコトバの形に気をつかってらっしゃるってことは解るんだども、両側ルビは無いような気が。
ひょっとすると「吉増剛造さんの電子書籍版詩集を担当する人は必読」とtweetされた@satou16さんは『天上ノ蛇、紫のハナ』の組版を念頭に置かれたのかと想像するんだども。うーん。小さい活字の行が大きい活字の行のルビであるかのように大きい活字の行に寄り添ってゐる箇所もあることはあるんだども――そして小さい活字の行にも大きい活字の行にも各々ルビは振られてあるんだども――。これは大きい活字の行と小さい活字の行が一つの詩の中に混ざってる状態ですよねぇ。
……
それはそれとして。
吉増剛造サンの詩集に見られるワザと読点を行頭に置きまくってゐる詩の組み方が目に留まる。行末・行頭禁則を快適に自動処理してくれる電子書籍ビュアは、「行頭禁則文字から始まる行」を、どんな具合にレンダリングしてくれっぺか。

<p>例へば<br>
、こんな連があったとして<br>
<div style="text-indent: 3em;">、それは<br></div>
<div style="text-indent: 6em;">、どんな表示になるだらう。</div></p>

書き手によって明らかに行頭に置かれた行頭禁則文字は、ちゃんと行頭に置かれてくれるだらうか。

例へば

、こんな連があったとして

、それは
、どんな表示になるだらう。

……
ともあれ。
組み方を重視する種類の詩の場合、リフローやリサイズを受け入れる電子書籍にするよりは、同一組版イメージのままでの拡大縮小のみ許容する電子書籍にするとか、いっそモーションタイポグラフィインタラクティブ性を加味した「詩アプリ」なんかにした方が面白いんぢゃないかと思ふ。『キセキ gozoCiné』(asin:4990123964)のような作品をお持ちの吉増剛造さんの場合は猶更。