日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

外旋字形と内旋字形

そんなコトバが世間一般に流通しているのかどうかは知らねぇんだども、ウチの野郎ッコの書字能力ば説明するのに必要なコトバなんで、使ってみる。
関節の運動を示す言葉に、外旋・内旋といふものがある。右利きのヒトにとって、手を時計回りに動かすのが外旋で、反対方向が内旋だ。この外旋方向さ筆を運ぶ動きで描く字形――例へば右利きのヒトにとっての「つ」の字――ば「外旋字形」と呼んでみる。同時に、右利きの「し」の字ば「内旋字形」と呼ばう。
満三歳三ヶ月を過ぎたウチの野郎ッコ、「外旋字形」についてはクレヨンを使って10cm角くらいの大きさから30cm角くらいの大きさの範囲でそれなりの形に仕上げることができるようになってきたんだども、「内旋字形」といふか、内旋方向の線分を描くことができねぇでゐる。
一通り描けるやうになりつつあるアラビア数字の書字に関して、幾つか興味深い点。
「5」は、「横向きの直線」「縦向きの直線」「曲線」といふ3つのパーツを合成した図形として認知してゐるらしく、これを自分に近い線分から順に「つ」「|」「ー」と描く。
「2」も一筆では描けず、「つ」と「ー」の合成なんだども、描き順は「つ」「ー」。
大人の書き順だと「内旋字形」である「6」は、時計回りの「○」を描いてツノを生やす。「9」も時計回りの「○」を描いてシッポを生やしてゐる。
やや「内旋字形」であり得る「4」は、「∠」+「|」ではなく、短い「|」+「ー」+長い「|」に分解して描いてゐる。
自発的に字形を描いて遊んでゐるのは主にアラビア数字だけなんだども、他に平仮名の「と」は、何度も描かうとしてゐる。何度も描かうとして、「と」「と」と唱えながら曲線を先に描くんだども、その都度「し」的「内旋字形」であるべき曲線が「つ」的「外旋字形」になってしまふので、ぐちゃぐちゃの線を描き足して図を潰してしまってゐる。
平仮名で唯一本人なりに満足に描けてゐるのが「い」で、「||||」と棒を四本並べて「いい」と読み上げて喜んでゐる愛い奴だ。