日本語練習虫

旧はてなダイアリー「日本語練習中」〈http://d.hatena.ne.jp/uakira/〉のデータを引き継ぎ、書き足しています。

スーパー学参フォント

公有フォントづくりに挫折した後、M+フォントの進捗に深く感動しつつ、どんな企画なら自分自身再び立ち向かえっぺか考えたことがある。
その際に、現在流行中のUDとは違う意味でのユニバーサルフォント、教科書限定にしておくのは惜しいからあちこちで使おうよと自然に受け入れてもらえるようなフォントなら公有ベースの意味もあるんじゃないかと思い、太ゴシック(特太ゴシック)の代りになるものと細ゴシック(中ゴシック)の代りになるものを生み出すための方向性を妄想した。
どうして太・細ゴシックかというと、小学校の教科書で本文が教科書体である他に見出し活字として角ゴや丸ゴの太いのと細いのが求められているからだ。
現時点で改めて整理してみると、そんな書体を生み出す方向性を、三通り考えていた。
ひとつめの方向は、現行の手書き系デザイン書体を学参化するような感覚の作り方。手書き感と活字感を巧みにハイブリッドした書体を、学参化してみるとどうなるだろうという思考実験。念頭にあったのは、例えばダイナコムウェアのDF円楷書やタイプバンクのカリグラゴシック。
ふたつめの方向は、手書き文字が規格化されて日本語活字書体が生まれ落ちようとしつつあった頃の「もうひとつの可能性」とでもいうような書体作りを試みること。台湾の国字標準字体母稿 (國字標準字體母稿)の宋体(明朝体)が例えば朗文堂正調明朝体清朝官刻体ベースのものだったらだいぶ違和感が減るんじゃないかという直感的な予想。
みっつめの方向は、教科書体の骨格にゴシック体やポップ書体のエレメントを着せてみたらどうなるかという乱暴な発想。
たぶん#mojidanをお読みの方々は上記文章だけで「スーパー学参フォント」についてどんな姿を思い描いているかを予想していただけると思って間違いないんだども、敢えて稚拙なスケッチも曝す。

ほんとうは、こんなフォント作ってみたんスけどどうスかね……って感じで試作品が出来てから語りたかったんだども、当分着手する見込みがないま数年ほったらかしの状態でいて、ここ数日間のtwitterのタイムラインを見てたら上記の考え方についてだけでも話してしまいたくなったので、日記さ書いておく。
既に似た書体が発表されてっかもしゃねし、あるいは同系統の発想に基づく書体がプロの手で作られつつあるんだかもしゃね。
……
活字と手書きでは字体が違うってことを渡る能力は、小学一年生のウチの野郎ッコには備わっている――というか、コドモの生活の中で文字と接触する機会は本だけでなく景観文字やテレビのテロップなど様々な大人文字に囲まれた状態で生じるので、教育用書籍だけ学参文字に限るってのもナンセンスな話ではあるんだども。